平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 208,209

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問 208  正答率 : 12.5%
問 209  正答率 : 82.4%

 国家試験問題

国家試験問題
50歳男性。定期健康診断にて脂質異常症を指摘され、スタチン系薬剤による治療を開始することになった。

問208(実務)
スタチン系薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 通常、作用が強力なスタチン系薬剤から開始し、より作用の弱いスタチン系薬剤に段階的に変更する。
2 コレステロールの胆汁排泄を促進するため、胆石症に注意が必要である。
3 プラバスタチンナトリウム及びロスバスタチンは、シトクロムP450による代謝を受けないことから、薬物相互作用が少ないとされている。
4 ピタバスタチンはプロドラッグであり、肝臓で加水分解を受けて活性体となる。
5 重篤な肝障害を有する患者への投与には注意が必要である。


問209(物理・化学・生物)
プラバスタチンナトリウムは、生体内で3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)からメバロン酸が生成する反応を触媒する酵素Aに作用する。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
スクリーンショット 2017-05-02 13.04.06.png

1 酵素AがHMG-CoAを還元すると、メバロン酸が生成する。
2 HMG-CoA及びメバロン酸の矢印で示した不斉炭素原子は、いずれもS配置である。
3 プラバスタチンナトリウムは、       で囲んだ部分がHMG-CoAとの構造類似性が高いため、酵素Aを競合阻害する。
4 プラバスタチンナトリウムの環状部位は、親水性を示す。

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問 208    
問 209    

 e-REC解説

問208 解答 解なし*

*選択肢3の問題文では、「シトクロムP450の代謝を受けない」となっているが、プラバスタチンとロスバスタチンはシトクロムP450の代謝を受けないわけではない。よって、正文が選択肢5だけとなってしまったため、この問題は「解なし」となった。

1 誤
通常、作用の弱いスタチン系薬剤から開始し、より作用が強力なスタチン系薬剤に変更する。

2 誤
スタチン系薬剤は、肝臓に能動的に取り込まれ、コレステロール生合成過程の律速段階を触媒するHMG−CoA還元酵素を阻害することにより、コレステロールの生合成を阻害する。

3 誤
プラバスタチン及びロスバスタチンは、シトクロムP450による代謝を受けにくいことから、薬物相互作用が少ないとされている。

4 誤
ピタバスタチンはプロドラッグではない。よって、ピタバスタチンは、肝臓で加水分解を受けることなく作用を示す。なお、プロドラッグにはシンバスタチンがある。

5 正
スタチン系薬剤は、主に肝臓に多く分布して作用するので、重篤な肝障害を有する患者へのスタチン系薬剤を投与すると、肝障害を悪化させるおそれがある。よって、重篤な肝障害を有する患者へのスタチン系薬剤の投与には注意が必要である。


問209 解答 1、3

1 正
酵素A(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA還元酵素:HMG−CoA還元酵素)がHMG-CoAを還元すると、メバロン酸が生成する。

2 誤
HMG−CoAの不斉炭素は、S配置であり、メバロン酸の不斉炭素は、R配置である。
スクリーンショット 2017-05-02 13.05.31.png

3 正
プラバスタチンナトリウムの       で囲んだ部分がHMG-CoAとの構造類似性が高いため、プラバスタチンナトリウムは、酵素A(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA還元酵素:HMG−CoA還元酵素)の酵素活性部位を競合的に阻害する。
スクリーンショット 2017-05-02 13.07.20.png

4 誤
プラバスタチンナトリウムの環状部位は、親水基であるヒドロキシ基(−OH)が1つあるが、炭素数が多いため、疎水性を示す。一般的に、ヒドロキシ基(−OH)のような親水基1つにつきC数3つまでの化合物は親水性を示す。

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