平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 98

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問 98  正答率 : 60.8%

 国家試験問題

国家試験問題
クロマトグラフィーの分離パラメータに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ピーク高さと保持時間が同じなら、ピーク幅が狭いほど理論段数(N )は大きい。
2 シンメトリー係数(S )が1より小さいとき、ピークはテーリングしている。
3 カラムの長さが2倍になると、理論段高さ(H )は2倍になる。
4 同一の分離条件で2つの化合物の保持時間が同じ場合、両者の分離係数(α)は1である。
5 分離度(Rs)は、2つのピークの保持時間の関係を示し、ピーク幅に依存しない。

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問 98    

 e-REC解説

解答 1、4

1 正
理論段数(N )は、カラム中における物質のバンドの広がりの度合いを示し、この値が大きいほど優れた分離系であることを示す。理論段数(N )は以下の式で表される。
スクリーンショット 2017-10-10 21.21.54.png
よって、ピーク高さと保持時間(tR)が同じなら、ピーク幅(W0.5h)が狭いほど理論段数(N )は大きくなる。

2 誤
シンメトリー係数(S )は、クロマトグラム上のピークの対称性の度合いを示す値である。シンメトリー係数(S )は以下の式で表すことができる。
スクリーンショット 2017-10-10 21.24.03.png
シンメトリー係数(S )は1では、ピークが正規分布(左右対称)曲線を示し、シンメトリー係数(S )が1よりずれた場合、テーリング又はリーディングしたピークを示す。
また、シンメトリー係数(S )が1より大きいときのピークをテーリングしたピークといい、シンメトリー係数(S )が1より小さいときのピークをリーディングしたピークという。
スクリーンショット 2019-04-24 13.25.30.png

3 誤
理論段高さ(H )は、理論段1段あたりのカラムの長さを示す値であり、以下の式で表される。
スクリーンショット 2017-10-10 21.26.19.png
理論段数(N )はカラムの長さ(L )に比例するため、カラムの長さ(L )が2倍になると理論段数(N )も2倍になる。よって、理論段高さ(H )はカラムの長さ(L )に依存しない。

4 正
分離係数(α)は、2つの成分についてピーク相互の保持時間の関係を示すものである。分離係数は以下の式で表すことができる。
スクリーンショット 2017-10-10 21.28.23.png
よって、同一の分離条件で2つの化合物の保持時間が同じ(tR1=tR2)場合、両者の分離係数(α)は1となる。

5 誤
分離度(Rs)は、クロマトグラム上の2つの成分についてピーク相互の保持時間(tR)とそれぞれのピーク幅(W0.5h)との関係を示す値であり、以下の式で表される。
スクリーンショット 2017-10-10 21.30.12.png
よって、分離度(Rs)はピーク幅(W0.5h)に依存する。

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