平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 120

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問 120  正答率 : 60.3%

 国家試験問題

国家試験問題
細菌の毒素に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素は、宿主細胞のタンパク質合成を阻害する。
2 コレラ毒素は、宿主の神経筋接合部でのアセチルコリンの遊離を抑制し、筋肉の麻痺を引き起こす。
3 ボツリヌス毒素は、宿主細胞内でアデニル酸シクラーゼを活性化し、サイクリックAMP濃度の上昇をもたらす。
4 グラム陰性菌の内毒素(エンドトキシン)は、外膜に存在するリポ多糖である。

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問 120    

 e-REC解説

解答 1、4

1 正
腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素は、RNA N-グリコシダーゼ活性をもち、リボソームRNAに存在するN-グリコシド結合を切断することによってタンパク質の合成を阻害する。その結果、血管内皮細胞が傷害され、出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)などを引き起こす。

2 誤
コレラ毒素は、Gsタンパク質中のGTPaseをADPリボシル化することでGTPからGDPへの分解を抑制し、アデニル酸シクラーゼの持続的活性化を引き起こす。その結果、細胞内サイクリックAMP濃度が上昇し、細胞外への水分移動により大量の水様便が生じる。

3 誤
ボツリヌス毒素は、宿主の神経筋接合部でのアセチルコリンの遊離を抑制し、筋肉の麻痺を引き起こす。

4 正
一般にグラム陰性菌の細胞壁は、薄いペプチドグリカン層と外膜から構成され、外膜の構成成分はリポ多糖である。リポ多糖は、脂質部分であるリピドAと数種類の糖より形成されるO多糖から構成され、リピドAは内毒素(エンドトキシン)活性をもつ。

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