平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 125

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問 125  正答率 : 65.9%

 国家試験問題

国家試験問題
喫煙者と非喫煙者における脳血管疾患の年齢階級別発生率を調べ、喫煙と脳血管疾患との関係を調べたところ、表に示す結果が得られた。この結果に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
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※過去1ヶ月にわたり1日平均5本以上の喫煙している者を喫煙者、それ以外を非喫煙者とする。

1 この表は、症例-対照研究の結果を示している。
2 この表における相対危険度は、喫煙をやめることによって脳血管疾患発症数がどれくらい減少できるかを示している。
3 全ての年齢群のうち、55〜59歳の群は、喫煙が脳血管疾患を発症させるリスクが最も高いと考えられる。
4 65〜69歳の群の相対危険度の値が全ての年齢群の値より低いのは、加齢によって脳血管疾患の発症率が喫煙の有無にかかわらず高くなるためであると考えられる。
5 喫煙と脳血管疾患発症率との関係を解析する上で、年齢が交絡因子となっている。

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問 125    

 e-REC解説

解答 4、5

1 誤
この表は、調査対象集団を要因曝露者(喫煙者)と非曝露者(非喫煙者)に分類し、将来に向かって両者の罹患率(脳血管疾患の発生率)を比較しているため、要因-対照研究の結果を示していることがわかる。なお、症例-対照研究は、ある疾病の患者群と対照群を設定し、過去にさかのぼって要因の曝露を両集団で比較する疫学である。

2 誤
相対危険度は、要因が疾病の発症に作用する強さの指標であり、要因曝露によって疾病の発生率が何倍になったかを示すものである。なお、喫煙をやめることによって脳血管疾患患者数がどれくらい減少できるかを示す指標は寄与危険度である。

3 誤
喫煙が脳血管疾患を発症させるリスクを比較するには、相対危険度を用いる。全年齢のうち、相対危険度が最も高く、喫煙が脳血管疾患を発症させるリスクが最も高いと考えられるのは45〜49歳の群である。

4 正
65〜69歳の群は、全年齢のうち最も相対危険度が低いため、喫煙が脳血管疾患を発症させるリスクは低い。しかし、脳血管疾患の発生率は全年齢の中で最も高いため、喫煙による影響ではなく、加齢によって脳血管疾患の発症率が高くなっていると考えられる。

5 正
交絡因子とは、調査結果に影響を与えてしまう調査目的とする要因(因子)以外の因子のことである。本調査では、喫煙と脳血管疾患の発症率の関係を調査しているが、加齢によって脳血管疾患の発症率が喫煙の有無にかかわらず高くなっているため、年齢が交絡因子となっていると考えられる(解説4参照)。

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