平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 268,269

Pin On  ブックマーク済み   
問 268  正答率 : 62.2%
問 269  正答率 : 63.7%

 国家試験問題

国家試験問題
40歳女性。卵巣がんを原発とした多発性骨転移による疼痛があり、以下の処方が出されている。疼痛コントロールは良好であったが、2日前から、突然に我慢できない痛みが1日2〜3回程度出現するようになった。主治医よりレスキュー薬の問い合わせがあった。
スクリーンショット 2017-12-12 12.47.37.png

問268(実務)
医師に提案する薬剤とその1回用量の組合せとして適切なのはどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2017-12-12 12.48.17.png

問269(薬剤)
オキシコドンの体内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠は、肝初回通過効果の回避を目的とした製剤であり、薬物は主に直腸から吸収される。
2 オキシコドンは水溶性が高く、主に能動輸送により消化管から吸収される。
3 母乳のpHは、一般に血漿pHと比較して酸性側にあるため、弱塩基性薬物であるオキシコドンは母乳中に移行しやすい。
4 オキシコドンは、大部分が肝代謝により消失するため、健常人に比べ肝障害のある患者では血中濃度時間曲線下面積が増大する。
5 オキシコドンは、臨床用量の範囲において投与量と血中濃度の関係が非線形性を示すため、治療薬物モニタリング(TDM)を行うことが推奨される。

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 268    
問 269    

 e-REC解説

問268 解答 4

がん疼痛治療を行う場合、痛みが持続的である際は、時刻を決めた一定の間隔で鎮痛薬(定時鎮痛薬)を投与する。また、突発痛が出現した際は、定時鎮痛薬に加えて鎮痛薬を追加する。これをレスキュー薬といい、速効性鎮痛薬が用いられる。

1 誤
オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠などの徐放錠や経皮吸収型製剤は、持続痛に対しての鎮痛作用を目的として用いられるものであり、突発痛に対する即効性が無い。そのため徐放錠や経皮吸収型製剤は、突然起こるような痛みに用いられるレスキュー薬としては用いない。

2 誤
オキシコドン塩酸塩水和物散は速効性鎮痛薬であり、レスキュー薬として用いられる。その際、オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠の1日投与量の1/6 を1回量として投与する。
本患者は、40 mgを1日2回(80 mg/日)服用しているので、レスキュー薬としては、オキシコドン塩酸塩水和物散を1回あたり15 mgに設定する。

3 誤
解説1参照

4 正
フェンタニルクエン酸塩舌下錠は速効性鎮痛薬であり、レスキュー薬として用いられる。通常、成人には1回の突発痛に対して、フェンタニル100 µgを開始用量として舌下投与する。

5 誤
解説1参照


問269 解答 3、4

1 誤
オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠は、主に小腸粘膜から吸収される経口製剤である。なお、徐放錠は作用持続を目的としており、肝初回通過効果の回避を目的とした製剤ではない。

2 誤
オキシコドンは一般的な脂溶性薬物であるため、主に受動拡散により消化管から吸収される。

3 正
母乳のpH(6.6〜6.8)は、血漿のpH(7.4)と比較して酸性側にある。そのため、弱塩基性薬物であるオキシコドンは、血漿中で分子形分率が大きく、pH分配仮説を考慮すると、オキシコドンは母乳中に移行しやすいと考えられる。

4 正
オキシコドンは、主に肝臓のCYP3A4により代謝され消失する。そのため、健常人に比べ肝障害のある患者では、肝クリアランスが低下することで消失が遅延し、血中濃度時間曲線下面積が増大する。

5 誤
オキシコドンは、通常用量の範囲において投与量と血中濃度の関係は非線形性を示さない薬物である。また、治療薬物モニタリング(TDM)の対象薬ではない。

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします