平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 242,243

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問 242  正答率 : 60.5%
問 243  正答率 : 52.4%

 国家試験問題

国家試験問題
学校薬剤師が小学校の水道水の水質検査を行った。結果は以下の通りであった。
スクリーンショット 2017-12-13 14.17.10.png

問242(実務)
学校薬剤師が採水の現場で測定すべき項目はどれか。2つ選べ。

1 一般細菌
2 大腸菌
3 全有機炭素
4 臭気
5 遊離残留塩素


問243(衛生)
この水道水の水質検査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 大腸菌は検出されていないが、一般細菌が検出されているので、水質基準を満たしていない。
2 塩化物イオン濃度は、し尿等の混入があると値が増加する。
3 全有機炭素(TOC)の測定値は、水道水中の還元性無機イオンの影響を受けにくい。
4 トリハロメタンの濃度が高いと色度、濁度のいずれも高くなる。
5 遊離残留塩素が水質基準を超えているため、このままでは飲料に適さない。

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問 242    
問 243    

 e-REC解説

問242 解答 4、5

本設問の選択肢のうち、学校薬剤師が採水の現場で測定すべき項目は、臭気と遊離残留塩素である。水道水の水質基準項目のうち、環境調査、試料の採取、水温、外観、臭気、残留塩素は試料採取の現場で行うものとされている。また、pH、塩化物イオン、全有機炭素、一般細菌、大腸菌などは試験室で直ちに試験に着手すべきとされている。


問243 解答 2、3

学校保健安全法において、学校の水道水に係る学校衛生環境基準は以下のように定められている。
スクリーンショット 2017-12-13 14.20.02.png

1 誤
この水道水の一般細菌数は、1 mL中36集落であり、基準値は1 mL中100集落以下であることから、水質基準を満たしている。

2 正
し尿には塩化物イオンが含まれているため、水道水にし尿が混入すると塩化物イオン濃度の値は増加する。また、塩化物イオンの値は、し尿の他に、海水や工業排水などの混入によっても増加する。

3 正
全有機炭素(TOC)は、水中の有機物の量を表したものであり、水中の有機物を燃焼させた際に生じる二酸化炭素を非分散形赤外線ガス分析計で測定する。還元性無機イオンは、還元反応を起こす無機イオンであり、Fe2+やNO2などがあるが、燃焼させても二酸化炭素を発生しない。よって、TOCの値は、水道水中の還元性無機イオンの影響を受けにくい。なお、水中の有機物の量を表す他の指標として化学的酸素要求量(COD)がある。CODの値は、水中の有機物が酸化剤によって酸化される際に消費する酸素量を測定するが、酸化剤が還元性無機イオンと反応するため、還元性無機イオンの影響を受ける。

4 誤
トリハロメタンは、フミン質の塩素処理副生成物であり、色度や濁度には影響しない。なお、色度とは、水中に含まれる溶解性物質およびコロイド性物質物質による着色の程度であり、フミン質、鉄化合物、マンガン化合物などが影響を与える。また、濁度とは、水の濁りの程度を示すものであり、無機及び有機の浮遊物、微生物、泥土などが影響を与える。

5 誤
この水道水の遊離残留塩素の濃度は、0.3 mg/Lであり、基準値は0.1 mg/L以上であることから、水質基準を満たしている。

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