平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 222,223,224,225

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問 222  正答率 : 57.0%
問 223  正答率 : 47.5%
問 224  正答率 : 82.8%
問 225  正答率 : 55.0%

 国家試験問題

国家試験問題
50歳男性。体重60 kg。重症感染症のため一時的に高カロリー輸液ソフトバッグ製剤(1,003 mL中にブドウ糖175 g、総遊離アミノ酸30 gを含有)を中心静脈から投与することになった。この男性の腎機能は正常である。

問222(実務)
非タンパク質性カロリー(kcal)/窒素(g)比(NPC/N)の値として最も近いのはどれか。1つ選べ。ただし、アミノ酸は16%の窒素を含むものとする。

1 125
2 150
3 175
4 200
5 225


問223(物理・化学・生物)
グルコースとアミノ酸を混合した場合、化学反応が起こることがある。反応速度定数をkとする①のような反応について、反応速度vが②のように表されるとき、以下の記述のうち正しいのはどれか。2つ選べ。

スクリーンショット 2017-12-13 18.54.41.png

ただしADは物質を、adは化学量論係数を表す。また、[A]〜[D]はそれぞれADの濃度を表すものとする。

1 paqbの関係式が常に成り立つとは限らない。
2 p,qは必ず正の整数である。
3 各物質量の変化に注目すると下のような関係式が成り立つ。
スクリーンショット 2017-12-13 18.57.17.png

4 kは反応条件によって変化するが、反応物の濃度には無関係な値である。


問224(実務)
高カロリー輸液療法を施行するにあたって、高カロリー輸液の基本液として、糖質、電解質、アミノ酸及び総合ビタミンを含有するキット製剤を用いることとした。このとき、以下の記述のうち正しいのはどれか。2つ選べ。

1 高カロリー輸液を末梢静脈から投与すると、静脈炎が起こりやすい。
2 糖とアミノ酸で十分なカロリーを投与できる場合は、脂肪乳剤は投与しない方がよい。
3 調製後の高カロリー輸液を投与するときは、遮光カバーで被覆する。
4 腎機能が低下している場合は、微量元素の添加量を増量する。
5 基本液のブドウ糖濃度は、10%以下に調整されている。


問225(物理・化学・生物)
血液中でのグルコースによる糖化反応に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 グルコースの3位または4位のヒドロキシ基が糖化反応に関与する。
2 グルコースは、ヘモグロビンAの主にC末端カルボキシ基に結合する。
3 グルコースによるヘモグロビンAの糖化反応は、非酵素的に起こる。
4 血中アルブミンは、グルコースにより糖化される。
5 糖化ヘモグロビンA(HbA1c)値(%)は、血糖値の急激な変化を知るための指標として、糖尿病が急速に悪化した時の診断に利用される。

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問 222    
問 223    
問 224    
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問222 解答 2

非タンパク質性カロリー/窒素比(NPC / N:non protein calorie / nitorogen)とは、投与アミノ酸の窒素1 gあたりの非タンパクエネルギー量(アミノ酸以外の糖質・脂肪によるエネルギー量)であり、中心静脈栄養法(TPN)の処方を組む上で重要な目安とされる。
つまり、本処方におけるNPCはブドウ糖175 gによるカロリーであり、ブドウ糖はAtwater係数が
4 kcal/gであるため、175 g×4 kcal/g=700 kcalとなる。また、アミノ酸は16%の窒素を含むとあるため、本処方の窒素量は30 g×0.16=4.8 gとなる。
したがって、本処方における非タンパク質性カロリー(kcal)/窒素(g)比は、700 kcal/4.8 g≒146 kcal/gとなり、最も近いのは選択肢2の150となる。


問223 解答 1、4

1 正
本反応式におけるpqは反応次数であり、化学量論係数abとは必ずしも一致はしない。

2 誤
反応次数pqは、正の値だけではなく負の値をとることもある。また、整数だけではなく分数もとりうる。

3 誤
反応式①より、Aがa mol、Bがb mol減少すると、Cがc mol、Dがd mol生成する。化学反応に関与する各成分の変化量は、その間に一定の比が成り立ち、化学量論係数は原系(左辺)で負、生成系(右辺)で正となるので、以下のような関係式が成り立つ。
スクリーンショット 2017-12-13 19.01.25.png
4 正
kは反応速度定数であり、温度や圧力などの反応条件によって変化するが、反応物の濃度には無関係な値である。


問224 解答 1、3

1 正
高カロリー輸液の基本液は高張液であり、細い血管である末梢静脈へ投与すると血液によって十分な希釈が起こらず浸透圧が高い状態のままになってしまうため、痛みを伴う静脈炎が起こりやすい。そのため、高カロリー輸液は一般に中心静脈へ投与する。

2 誤
脂質は筋肉における重要なエネルギー源であるため、脂肪乳剤もカロリー供給源として投与する必要がある。

3 正
高カロリー輸液に含まれるビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、Kなどは光により分解されやすいため、調製後の高カロリー輸液を投与するときは、遮光カバーで被覆する。

4 誤
腎機能が低下している場合、微量元素が体内に蓄積しやすいため、添加量の減量を考慮する必要がある。

5 誤
高カロリー輸液のブドウ糖濃度は一般に10%以上に調整されている。本問の場合、基本液1003 mL中にブドウ糖175 gが含有されているため、ブドウ糖濃度は約17.5 %である。


問225 解答 3、4

血中のグルコースは、アルブミンやヘモグロビンAなどのタンパク質中のアミノ基と非酵素的な糖化反応を起こすことで、糖化アルブミンや糖化ヘモグロビンA(HbA1c)となる。
スクリーンショット 2017-12-13 19.05.02.png

1 誤
グルコースの1位のアルデヒド基が糖化反応に関与する。

2 誤
グルコースは、ヘモグロビンA(HbA)の主にN末端アミノ基に結合する。

3 正
前記参照

4 正
前記参照

5 誤
糖化ヘモグロビンA(HbA1c)値(%)は、過去1〜2ヶ月の血糖値の推移をあらわしており、糖尿病の血糖コントロールの指標に用いられる。

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