平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 214,215

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問 214  正答率 : 73.9%
問 215  正答率 : 73.4%

 国家試験問題

国家試験問題
病院でバイオ後続品の採用を検討することになり、医師よりバイオ後続品の特性について薬剤部に問い合わせがあった。

問214(実務)
バイオ後続品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 先行バイオ医薬品と品質、安全性、有効性に関して同等/同質であることが確認されている。
2 先行バイオ医薬品と構造が同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与される。
3 先行バイオ医薬品と産生細胞や製法(培養法や精製法)が同一である。
4 製造販売後調査が義務付けられている。


問215(物理・化学・生物)
バイオ医薬品として用いられる組換えタンパク質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 宿主として大腸菌とほ乳動物由来細胞を用いた場合、同一の遺伝子から発現させた組換えタンパク質では、同一の糖鎖が付加される。
2 ほ乳動物由来細胞を宿主とした場合、O結合型の糖鎖は、タンパク質のセリンまたはトレオニン残基に付加される。
3 バイオ医薬品として組換えタンパク質を生産させる際には、そのmRNAを化学合成して宿主細胞に導入する。
4 バイオ医薬品の中には、CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)を用いて生産されるものがある。

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問214 解答 1、4

バイオ医薬品は、遺伝子組換え技術を用いることによって、生物由来の細胞を用いて産生される医薬品であり、通常の低分子医薬品とは異なり、タンパク質などの高分子医薬品である。バイオ後続品とは、この先行バイオ医薬品の特許期間が終了した後に発売される、先行バイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性、有効性が確認された医薬品として、先行バイオ医薬品とは異なる製薬企業により開発される医薬品のことである。通常の後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発品と同一の有効成分が含まれるが、生物を使用して先発品とは異なる製薬企業で作成される高分子医薬品であるバイオ後続品では、まったく同一の産生細胞や製法を用いて生成することは困難であるため、先行バイオ医薬品と同一の有効成分と証明することは難しい。そのため、バイオ後続品は、新薬を発売する際に行う試験に準ずる試験や提出資料が必要となる。

1 正
前記参照

2 誤
バイオ後続品は高分子医薬品である上、先行バイオ医薬品と異なる製薬企業において作成され、その製法も先行バイオ医薬品と全く同一のものではないため、分子レベルで完全に同一の有効成分と証明することは困難である。なお、先発医薬品と構造が同一の有効成分を含み、同一経路から投与されるのは、後発医薬品(ジェネリック医薬品)である。

3 誤
前記参照

4 正
バイオ後続品は、製造販売後調査が義務付けられている。


問215 解答 2、4

1 誤
同一の遺伝子から発現させたタンパク質では、アミノ酸配列は同一である。しかし、大腸菌などの原核細胞は、ほ乳動物とは異なり糖鎖付加などのタンパク質の翻訳後修飾を行うゴルジ体などの細胞内小器官をもたないため、同一の遺伝子から発現させた組換えタンパク質であっても、同一の糖鎖を付加することはできない。

2 正
ほ乳動物由来細胞を宿主とした場合、O結合型の糖鎖は、タンパク質のセリンまたはトレオニン残基に付加され、N結合型の糖鎖は、タンパク質のアスパラギン残基に付加される。

3 誤
バイオ医薬品として組換えタンパク質を生産させる際には、遺伝子組み換え技術によりそのタンパク質をコードするDNAを作成し、宿主細胞に導入する。

4 正
バイオ医薬品の中には、CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)やマウス骨髄腫瘍細胞などを用いて生産されるものがあり、CHO細胞が汎用されている。

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