平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 166

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問 166  正答率 : 61.5%

 国家試験問題

国家試験問題
トランスポーターを介した薬物輸送に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 促進拡散型トランスポーターは、電気化学ポテンシャル差を駆動力とする。
2 ミカエリス定数に比べて低い基質濃度での輸送速度は、濃度によらず一定となる。
3 ペプチドトランスポーターPEPT1によるセファレキシン輸送の駆動力は、プロトン濃度勾配である。
4 有機アニオントランスポーターOAT1によるメトトレキサート輸送は、ATPの加水分解エネルギーを駆動力として直接利用する。
5 P−糖タンパク質によるシクロスポリンの輸送は、二次性能動輸送である。

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問 166    

 e-REC解説

解答 1、3

1 正
促進拡散型トランスポーターは、単純拡散と同様に細胞膜両側に存在する透過物質自体の電位差があるときに生じる、膜内外の電気化学ポテンシャル差を駆動力として薬物輸送を行う。

2 誤
担体(トランスポーター)介在性輸送による輸送速度Vはミカエリスメンテン式(①式)で表すことができる。
スクリーンショット 2018-08-09 18.14.23.png
①式において、ミカエリス定数Kmに比べて基質濃度Cが十分に低い場合(Km≫C)、膜透過速度Vは②式に近似することができる。
スクリーンショット 2018-08-09 18.16.39.png
したがって、膜透過速度Vは、基質濃度Cに比例する。
なお、①式において、ミカエリス定数Kmに比べて基質濃度Cが十分に高い場合(Km≪C)、膜透過速度Vは③式に近似することができる。
スクリーンショット 2018-08-09 18.17.46.png
この場合、膜透過速度vは、基質濃度Cによらず、最大輸送速度Vmax(一定)となる。

3 正
ペプチドトランスポーターPEPT1は、プロトン濃度勾配を駆動力として、物質の膜透過を行う二次性能動輸送担体である。PEPT1の基質となる薬物には、セファレキシンやバラシクロビルなどがある。

4 誤
有機アニオントランスポーターOAT1は、ATPの加水分解エネルギーを間接的に利用して、物質の膜透過を行う二次性能動輸送担体である。OAT1の基質となる薬物には、メトトレキサートや、p−アミノ馬尿酸などがある。

5 誤
P−糖タンパク質は、ATPの加水分解エネルギーを直接利用して、細胞内から細胞外へ薬物を排出する一次性能動輸送担体である。P−糖タンパク質の基質となる薬物には、シクロスポリンやタクロリムス、ジゴキシンなどがある。

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