平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 172

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問 172  正答率 : 51.7%

 国家試験問題

国家試験問題
各グラフの実線は、肝でのみ消失する薬物を経口投与したときの血中濃度推移を表す。肝固有クリアランスが2倍に増加したときの血中濃度推移(破線)を表す最も適切なグラフはどれか。1つ選べ。ただし、この薬物の肝での消失は血流律速で、well−stirred modelに基づくものとする。
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問 172    

 e-REC解説

解答 4

適切なグラフを考える上で、肝固有クリアランス(CLint)が2倍に増加した場合における、(1)薬物の消失の変化と、(2)経口投与時の血中濃度時間曲線下面積(AUCpo)の変化を考える必要がある。

(1)薬物の消失の変化を考える。
問題文中に「この薬物の肝での消失は血流律速」とあるため、CLh≒Qhと近似できるため、CLintが2倍に増加しても、CLhに大きな変化はなく、消失には大きな変化はみられないことがわかる(消失相のグラフの傾きは変化しない)。そのため、消失相の傾きに変化がないグラフ4か6が該当する。

(2)経口投与時の血中濃度時間曲線下面積(AUCpo)の変化を考える。
well−stirred modelにおける肝クリアランスCLhは①式で表され、AUCpoは②式で表すことができる。
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問題文より、「肝でのみ消失する薬物」とあるため、CLtotはCLhと等しくなり、②式を③式に変換することができる。
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また、バイオアベイラビリティFは、④式で表すことができる。
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ここで、肝抽出率Eh = CLh/Qh、Fh = 1-Eh、問題文より、「肝でのみ消失する薬物」とあるためFg=1であるため、④式を変換すると、⑤式となる。
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⑤式のCLhに①式を代入すると、⑥式となる。
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①式と⑥式を③式に代入すると、⑦式となり、CLintとAUCpoの関係式が導かれる。
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⑦式から、肝固有クリアランス(CLint)が2倍に増加すると、経口投与後の血中濃度時間曲線下面積AUCpoが1/2に減少することがわかる。
以上より、肝固有クリアランスが2倍に増加したときの変化を適切に示すグラフは、消失相のグラフの傾きが変化しておらず、AUCpoが1/2となるグラフである4が該当することがわかる。

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