平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 173

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問 173  正答率 : 49.8%

 国家試験問題

国家試験問題
ある薬物100 mgを被験者に急速静脈内投与した後に血中濃度及び尿中排泄量を測定したところ、未変化体の血中濃度時間曲線下面積（AUC）は1.0 mg・h/L、代謝物の尿中総排泄量は20 mg（未変化体換算量）であった。一方、この薬物200 mgを同一患者に経口投与したときのAUCは0.8 mg・h/Lであった。この薬物の体内動態の説明として誤っているのはどれか。１つ選べ。
ただし、この薬物は肝代謝及び腎排泄でのみ消失し、代謝物は全て尿中に排泄されるものとする。また、体内動態は線形性を示し、肝血流速度は80 L/hとする。

１　生物学的利用率は40％である。
２　全身クリアランスは100 L/hである。
３　静脈内投与後の未変化体の尿中排泄率は80％である。
４　肝抽出率は25％である。
５　経口投与された薬物のうち、門脈に移行する割合は75％である。

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問 173    
 答え合わせ

 e-REC解説

解答　５

１　正しい
生物学的利用率Fは、以下のように求められる。
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２　正しい
全身クリアランスCLtotは、以下のように求められる。
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３　正しい
静脈内投与後の未変化体の尿中排泄率Aeは①式で表される。
スクリーンショット 2018-08-09 20.43.22.png
問題文に、「薬物100 mgを急速静脈内投与した」「代謝物の尿中総排泄量は20 mg」とあり、
さらに、「この薬物は肝代謝及び腎排泄でのみ消失する」とあることから、
Xu＝100 mg－20 mg＝80 mgとなる。

よって、Div＝100mg、Xu＝80 mgを①式に代入すると、Aeは以下のように計算される。
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４　正しい
肝抽出率Ehは②式で表される。
スクリーンショット 2018-08-09 20.48.32.png
ここで、肝クリアランスCLhは、CLtot・(1－Ae)と表すことができるため、CLh＝CLtot・(1－Ae)＝100 L/h・(1－0.8)＝20 L/hとなる。
また、問題文よりQh＝80 L/hとあるため、②式に代入すると、Ehは以下のように計算される。
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５　誤っている
経口投与された薬物のうち、門脈に移行する割合は、消化管粘膜透過率Fa×小腸アベイラビリティFgで求めることができる。また、問題文に、「この薬物は肝代謝及び腎排泄でのみ消失する」とあることから、Fg＝1であるためFaを求めればよい。

したがって、生物学的利用率F＝Fa・Fg・Fh（③式）を用いてFaを求めると、以下のように計算される（Fh：肝アベイラビリティ）。
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