平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 138

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問 138  正答率 : 54.3%

 国家試験問題

国家試験問題
富栄養化とその対策に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 湖沼を水源としている水道水では、2-メチルイソボルネオールやジェオスミンによる異臭が発生することがある。
2 閉鎖性水域で富栄養化が起こると、酸化鉄の蓄積により赤潮が生じることがある。
3 「生活環境の保全に関する環境基準」において、富栄養化の原因となる全窒素及び全リンについて、河川、湖沼及び海域における基準値が定められている。
4 下水の高度処理において、活性汚泥中の脱窒菌は嫌気的な条件で硝酸態窒素を還元し、窒素ガスとして大気中に放出する。
5 下水の高度処理において、活性汚泥中のリン蓄積細菌は、嫌気的条件でリンを蓄積する。

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問 138    

 e-REC解説

解答 1、4

富栄養化は、生活雑排水や工業用排水に由来する窒素及びリンが水域に増加することにより、これらを栄養素とする植物プランクトンが異常に増殖する現象である。

1 正
2-メチルイソボルネオールやジェオスミンは、藍藻類や放線菌などの植物プランクトンが産生するカビ臭物質である。一般に富栄養化は、閉鎖性水域(湖沼及び海域)で発生しやすいため、湖沼を水源としている水道水では、2-メチルイソボルネオールやジェオスミンによる異臭が発生することがある。

2 誤
閉鎖性海域では、シャトネラやギムノディニウムなど褐色を呈する植物プランクトンが増殖して海面が赤褐色になる赤潮と呼ばれる現象が発生する。

3 誤
「生活環境の保全に関する環境基準」において、富栄養化の原因となる全窒素及び全リンについて、海域及び湖沼における基準値が定められている。

4 正
活性汚泥法の処理プロセス中で、脱窒素法としての生物学的好気-嫌気法と脱リン法としての生物学的嫌気-好気法を組合せ、活性汚泥処理(好気的条件)後に、嫌気プロセス(嫌気槽、無酸素槽)および好気プロセス(好気槽)を継続させる方法がとられている(嫌気無酸素好気法)。嫌気槽ではリン蓄積菌が細胞内のリン酸を放出し、無酸素槽で脱窒菌が好気槽で生成した硝酸を窒素ガスとして大気中に放出する。好気槽では硝化菌によるアンモニアの硝酸への酸化、リン蓄積菌によるリンの過剰摂取と好気性微生物による有機物の酸化分解が進む。好気槽の処理水は、無酸素槽との間で循環し、アンモニア態窒素の除去を促進する。
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5 誤
下水の高度処理において、活性汚泥中のリン蓄積細菌は、好気的条件でリンを蓄積する(解説4参照)。

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