平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 92

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問 92  正答率 : 51.2%

 国家試験問題

国家試験問題
図は一定圧力条件下での水−塩化ナトリウム二水和物(NaCl・2H2O)の二成分の状態を表したもの(相図)である。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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1 領域ア内の任意の点で生じている固体は、すべて純水からなる。
2 領域イ内の任意の点の塩化ナトリウム濃度は、一定である。
3 領域ウ内の任意の点(線上は含まない)における熱力学的自由度は、条件指定に使っている圧力も含めて1である。
4 曲線ABは水と塩化ナトリウムの溶解度積を表している。
5 点Bでは、液相、固体の水、固体の塩化ナトリウム二水和物の三相が平衡状態にある。

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問 92    

 e-REC解説

解答 1、5

設問のグラフは、水-塩化ナトリウム二水和物の混合における二成分系の状態図である。Aは固相(水)の融点、Bは共融点を示し、以下のように設問を解くことができる。
スクリーンショット 2018-08-10 20.08.28.png

1 正
領域ア内の任意の点では、固相(水)と液相(塩化ナトリウム水溶液)が存在するため、固体はすべて純水からなる。

2 誤
領域イ内は、混合物はすべて液相(塩化ナトリウム水溶液)として存在しているため、領域イ内の任意の点の塩化ナトリウム濃度は、混合比と等しくなる。例えば、下図の点1は、混合物はすべて液相であることから、塩化ナトリウム水溶液の濃度は10 w/w%となる。同様に点2では、塩化ナトリウム水溶液の濃度は15 w/w%となる。よって、領域イ内の任意の点の塩化ナトリウム濃度は、一定ではない。
スクリーンショット 2018-08-10 20.09.19.png


3 誤
自由度Fは以下の式で表される。
F=C+2-P   C:成分数、P:相の数
このグラフは、水−塩化ナトリウム二水和物の二成分の状態を表したものであるため、C(成分数)=2である。領域ウ内の任意の点(線上は含まない)は固相(塩化ナトリウム二水和物)と液相(塩化ナトリウム水溶液)の2相であるため、P(相の数)=2である。
よって、領域ウ内の任意の点(線上は含まない)における熱力学的自由度は、条件指定に使っている圧力も含めて2(F=C+2-P=2+2-2=2)である。

4 誤
曲線ABは水に対する塩化ナトリウムの溶解度を表している。領域ア内の任意の点では、固相(水)と液相(塩化ナトリウム水溶液)からなるが、液相における組成(水に対する塩化ナトリウムの溶解度)は、曲線ABとの交点より求めることができる。例えば、下図の点3は、-15℃における10 w/w%NaCl混合物であり、この混合物の液相(塩化ナトリウム水溶液)の濃度は、曲線との交点4で表わされる。
スクリーンショット 2018-08-10 20.10.18.png


5 正
点Bは共融点であり、液相(塩化ナトリウム水溶液)、固相(水)、固相(塩化ナトリウム二水和物)の三相が平衡状態にある。

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