平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 104

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問 104  正答率 : 45.2%

 国家試験問題

国家試験問題
ジクロロメタンを溶媒として、同じ物質量の塩化ベンゾイルとベンジルアミンとを室温で反応させたところ、塩化ベンゾイルのほぼ半量が生成物に変化したところで反応が停止した。この反応を再度行うにあたって、反応条件を改善して、塩化ベンゾイルのほぼ全量を生成物に変換したい。改善方法として適切なのはどれか。2つ選べ。
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1 ベンジルアミンに対して1当量以上のトリエチルアミンをさらに加える。
2 ベンジルアミンの量を2倍にする。
3 塩化ベンゾイルの量を2倍にする。
4 ジクロロメタンの代わりにメタノールを溶媒として用いる。
5 ジクロロメタンの量を半分にする。

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問 104    

 e-REC解説

解答 1、2

塩化ベンゾイル(酸塩化物)に対してベンジルアミン(アミン)が求核置換反応を起こし、N−ベンジルベンズアミド(アミド)が生成する。その際、副生成物として塩化水素が生成し、塩化水素(酸)とベンジルアミン(塩基)が酸塩基反応を起こすため、塩化ベンゾイルがほぼ半量残存した状態で本反応は停止したと考えられる。
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1 正
本反応に1当量以上のトリエチルアミンを加えると、副生成物である塩化水素とトリエチルアミンが酸塩基反応を起こし、ベンジルアミンの酸塩基反応を防ぐことができるため、塩化ベンゾイルのほぼ全量がN−ベンジルベンズアミドを生成すると考えられる。
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2 正
ベンジルアミンの量を2倍にすると、生成する塩化水素の量はほぼ変わらず、塩化ベンゾイルと反応するベンジルアミンの量を増やすことができるため、塩化ベンゾイルのほぼ全量がN−ベンジルベンズアミドを生成すると考えられる。

3 誤
塩化ベンゾイルの量を2倍にしても、塩化ベンゾイルに反応するベンジルアミンの量は変わらないため、塩化ベンゾイルのほぼ全量がN−ベンジルベンズアミドを生成するとは考えにくい。

4 誤
ジクロロメタンの代わりにメタノールを溶媒として用いると、塩化ベンゾイル(酸塩化物)に対してメタノール(アルコール)が求核置換反応を起こし、本反応と競合するため、塩化ベンゾイルのほぼ全量がN−ベンジルベンズアミドを生成するとは考えにくい。
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5 誤
ジクロロメタンの量を半分にしても、生成する塩化水素の量は変わらず、かつ塩化ベンゾイルに反応するベンジルアミンの量も変わらないため、塩化ベンゾイルのほぼ全量がN−ベンジルベンズアミドを生成するとは考えにくい。

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