平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 174

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問 174  正答率 : 57.4%

 国家試験問題

国家試験問題
固形製剤中における医薬品の分子集合体の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 結晶多形間では、結晶構造は異なるが真密度は等しい。
2 医薬品の結晶形は変化せず結晶表面に水分が吸着したものを水和物という。
3 非晶質(アモルファス)状態の医薬品を高湿度下に保存したとき、水分の収着によって結晶化することがある。
4 シクロデキストリンによる包接化には、医薬品の安定性を改善する効果はない。
5 医薬品を分子状態で水溶性高分子に分散させた粉体から医薬品を溶出させるとき、医薬品のみかけの溶解度が過飽和を示すことがある。

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問 174    

 e-REC解説

解答 3、5

1 誤
結晶多形とは、化学組成が同じであるにもかかわらず、結晶内で原子または分子の配列が異なる結晶をいう。結晶多形には、安定形と準安定形があり、密度、融点、融解熱、化学ポテンシャル、溶解度などが異なる。したがって、結晶多形間では、結晶構造は異なるため、真密度が異なる。

2 誤
結晶形は変化せず、結晶化する際、結晶構造中に水分子を取込み水分子と結合し、分子集団を形成する安定な結晶を水和物という。

3 正
非晶質(アモルファス)状態とは、結晶とは異なり、構造分子の配列に周期性や対称性をもたず乱れた構造を持つ固体状態であり、分子配列が秩序を失った固体状態であるため、一定の融点を示さない。非晶質(アモルファス)状態の医薬品は物理的に不安定なため、湿度、温度、圧縮等により結晶化することが知られており、高湿度下に保存したとき、水分の収着によって結晶化することがある。

4 誤
シクロデキストリンは、グルコピラノースがα(1→4)グリコシド結合で環状に結合した構造を有している。シクロデキストリンによる包接化により、医薬品の水溶性と安定性を改善できる。

5 正
医薬品を分子状態で水溶性高分子に分散させた粉体を固体分散体という。固体分散体とした場合、医薬品の見かけの溶解度が過飽和(溶解度を超える)を示すことがある。

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