平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 176

Pin Off  未ブックマーク   
問 176  正答率 : 46.4%

 国家試験問題

国家試験問題
高分子の構造と性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 合成高分子は単量体の重合反応によって合成されるため、一般に分子量が均一である。
2 分子量が均一なあるタンパク質が溶媒中で会合することなく分散しているとき、その数平均分子量と質量平均分子量は等しい。
3 高分子の物性は、単量体が同じであれば、その分子鎖の長さによらず同一である。
4 良溶媒中の高分子は、分子が伸びた形状をとりやすくなるため、溶液の粘度は高くなる。
5 核酸が形成する二重らせん構造は、分子鎖内の水素結合によって形成されるため、二次構造に相当する。

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 176    

 e-REC解説

解答 2、4

1 誤
合成高分子は、単量体の重合反応により合成したものであるが、生体高分子と異なり、組成が同一であっても、合成反応の種類や合成条件により、構造、分岐度などに不均一性が認められ、分子量に差が生じる。 また、生体高分子などの天然高分子は一般的に分子量が均一である。

2 正
数平均分子量とは高分子の分子量にそのモル分率をかけて平均した分子量であり、質量平均分子量とは高分子の分子量にその重量分率をかけて平均した分子量である。
分子量が均一なタンパク質が分散しているときはモル分率と質量分率がほぼ等しくなることから、数平均分子量と質量平均分子量が等しくなる。

3 誤
高分子は、単量体が同じであっても分子鎖の長さ(重合度)によって物性が異なる。

4 正
良溶媒(高分子をよく溶解する溶媒)中の高分子は、溶媒分子中に広がり、分子が伸びた線状の形状をとり、溶液の粘度は高くなる。また、貧溶媒(高分子をあまり溶かさない溶媒)中の高分子は、溶媒分子中での分子の広がりは小さく、コイル状となり、溶液の粘度は小さくなる。

5 誤
高分子の構造は一次構造、二次構造、三次構造などに分けられる。
一次構造には、分子を構成する原子や原子団の種類とそれらの結合様式によって決まる構造で、線状、分枝状などの構造がある。
二次構造には、一次構造で規定される長い鎖状分子が局部的にとるαヘリックス (螺旋) 、β構造 (プリーツシート) といった規則的な繰返し構造や、規則性はないが安定なループ、コイル、ターンなどの立体構造(コンホメーション)がある。
三次構造は、二次構造の相対的な配置を含め分子全体の空間構造である。
核酸が形成する二重らせん構造は、分子鎖内の水素結合により、化学的骨格を維持したまま、分子全体が特定の三次元配置を形成するため、三次構造に相当する。

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします