平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 304,305

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問 304  正答率 : 38.5%
問 305  正答率 : 36.8%

 国家試験問題

国家試験問題
産婦人科の医師から、医薬品情報室に「帝王切開前の皮膚消毒に用いる消毒薬として、クロルヘキシジンとポピドンヨードのどちらが手術部位感染を予防するのに良いか。」との問い合わせがあった。
情報収集の結果、クロルヘキシジン（2%クロルヘキシジングルコン酸塩＋イソプロピルアルコール）群と、ポピドンヨード（8.3%ポピドンヨード＋イソプロピルアルコール）群を比較した論文を見出し、表に基づいて説明した。
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問304（実務）
薬剤師の説明として、適切なのはどれか。２つ選べ。

１　主要評価項目は、手術部位感染の発症率と平均入院期間であった。
２　クロルヘキシジン群では、ポピドンヨード群と比べて、手術部位感染のリスクが45%減少することが示されている。
３　クロルヘキシジン群では、ポピドンヨード群と比べて、深部の手術部位感染のリスクは統計学的に有意に小さい。
４　クロルヘキシジン群、ポピドンヨード群ともに、入院期間の中央値は4日間であった。
５　再入院までの期間は、クロルヘキシジン群、ポピドンヨード群においてそれぞれ19日間、25日間であった。


問305（病態・薬物治療）
この研究に関する記述のうち、正しいのはどれか。２つ選べ。

１　この研究は介入研究である。
２　Primary outcome とは真のアウトカムのことである。
３　Randomized trialでは交絡因子の制御が困難である。
４　ITT解析により、当初の患者背景因子の同等性が保持されていると考えられる。
５　生存時間分析を行っている。

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問 305    
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問304　解答　２、４

１　誤
主要評価項目（Primary outcome）は、手術部位感染（Surgical-site infection）の発症数および発症率（no.（％））である。

２　正
手術部位感染（Surgical-site infection）の相対リスク（Relative Risk）が0.55とあることから、相対リスク減少率は1−0.55＝0.45（45％）となるため、クロルヘキシジン群ではポピドンヨード群と比べて、手術部位感染のリスクが45%減少すると読み取ることができる。

３　誤
クロルヘキシジン群とポピドンヨード群の深部手術部位感染（Deep incisional）の相対リスクの95％信頼区間（95％CI）が、0.17−1.15と1を挟んでいるため、統計学的に有意に小さいとは言い切れない（統計学的に有意ではない）。

４　正
クロルヘキシジン群とポピドンヨード群の入院期間の中央値（Median length of hospital stay）は4日間である。

５　誤
再入院（Hospital readmission）の症例数（no.）が、クロルヘキシジン群で19例、ポピドンヨード群で25例だと読み取ることはできるが、再入院までの期間は記載されていない。


問305　解答　１、４

１　正
この研究は、無作為に患者をクロルヘキシジン群とポピドンヨード群に割付けしている無作為化試験（Randomized trial）であるため、介入研究である。

２　誤
主要評価項目（Primary outcome）とは、主要な目的に基づく客観的評価が可能な項目のことである。一方、真のアウトカム（true outcome）とは、より本質的な変化の直接評価が可能な項目のことであり、Primary outcomeとは意味合いが異なる。

３　誤
無作為化試験（Randomized trial）では、割付けをランダムにすることで、交絡因子を制御することができる。

４　正
ITT（intention-to-treat）解析とは、割り付けられた対象者が治療を途中で脱落したか、最後まで完結したかに関わらず、当初に割り付けた群にしたがって解析を行う手法である。そのため、当初の患者背景因子の同等性が保持したまま解析することができる。

５　誤
生存時間分析とは、イベントが起こるまでの時間とイベントとの間の関係を分析したものであるが、今回はそれに関する分析は行なっていない。

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