平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 210,211

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問 210  正答率 : 65.0%
問 211  正答率 : 71.1%

 国家試験問題

国家試験問題
6歳男児。体重20 kg。身長120 cm。扁桃炎と診断され、この男児の処方せんを、母親が薬局に持参した(処方1)。
スクリーンショット 2018-09-03 15.32.36.png

問210(物理・化学・生物)
セフジニルは鉄イオンに配位し、キレートを形成する。矢印で示したセフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2018-09-03 15.32.51.png


問211(物理・化学・生物)
本症例に対し、薬剤師が行う対応の中で適切なのはどれか。2つ選べ。

1 セフジニル細粒10%の投与量について医師に疑義照会する。
2 セフジニル細粒10%からレボフロキサシン水和物製剤への処方変更を医師に提案する。
3 セフジニル細粒10%は鉄剤と一緒に服用するように指導する。
4 症状が途中で改善したら服用を終了するように指導する。
5 尿や便が赤色調を呈することがあると説明する。

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問 210    
問 211    

 e-REC解説

問210 解答 4

セフジニルと鉄イオンは配位結合によってキレートを形成する。配位結合するためにはローンペア(非共有電子対)が必要となるが、選択肢4の窒素原子は共鳴によりローンペアが非局在化しているため鉄イオンに最も配位しにくいと考えられる。


問211 解答 1、5

1 正
セフジニル細粒10%の添付文書には、「通常、小児に対してセフジニルとして1日量9〜18 mg(力価)/kgを3回に分割して経口投与する」と記載されているため、体重20 kgの本患者の場合は力価として1日あたり180〜360 mg(9〜18 mg/kg×20 kg)が投与量として適量と考えられる。しかし、処方1ではセフジニル細粒10%を1日1.5 gとあり、これは力価として1日あたり150 mg(1.5 g×0.10 = 0.15 g)を投与する指示であるため過少投与である。よって、セフジニル細粒10%の投与量について医師に疑義照会することは適切である。

2 誤
レボフロキサシン水和物は小児に対して禁忌である。また、レボフロキサシン水和物はセフジニルと同様に鉄イオンとキレートを形成することで吸収が低下する。これらより、セフジニル細粒10%からレボフロキサシン水和物製剤への処方変更を医師に提案することは不適切である。

3 誤
セフジニルは鉄イオンとキレートを形成することで吸収が低下するため、鉄剤との併用は避けることが望ましい。やむを得ず鉄剤と併用する場合には、セフジニルの服用後3時間以上の間隔をあけて鉄剤を服用するように指導する。したがって、セフジニル細粒10%は鉄剤と一緒に服用するように指導することは不適切である。

4 誤
抗菌薬の服薬指導をする際は、耐性菌の出現を防ぐため、症状が改善しても医師の指示通り飲み切るように指導する必要がある。このため、症状が途中で改善したら服用を終了するように指導することは不適切である。

5 正
セフジニルは尿や便が赤く着色されることがあるが副作用ではないため、患者を心配させないために、尿や便が赤色調を呈することがあると説明することは適切である。

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