平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 244,245

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問 244  正答率 : 42.8%
問 245  正答率 : 83.6%

 国家試験問題

国家試験問題
病院のスタッフステーションで、感染性廃棄物用の容器の近くの床に注射針が落ちていた。これを拾おうとした医療従事者が誤って指に針を刺してしまった。この病棟には、HIV、B型肝炎ウイルス又はC型肝炎ウイルスに感染した患者が入院しているが、指に刺してしまった針が、いずれの患者に使用されたものかは不明であった。事故後、直ちに、この医療従事者の血液検査を行った。

問244(実務)
針を刺してしまった医療従事者への対処として、誤っているのはどれか。2つ選べ。

1 傷口を流水で洗浄し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒を行う。
2 HBs抗原が陽性もしくはHBs抗体が陽性の場合には、B型肝炎への新たな感染の可能性はないため、B型肝炎に対する処置の必要はない。
3 HBs抗体を獲得していない場合には、事故発生後直ちに抗HBsヒト免疫グロブリンを投与する。
4 抗HIV薬の投与を直ちに開始することがある。
5 事故後2週間まで、抗HIV抗体の検査を継続する。


問245(衛生)
感染性廃棄物に該当しないのはどれか。1つ選べ。

1 全血製剤等の外見上血液と見分けがつかない輸血用血液製剤が残存する容器
2 病理診断に使用したホルマリン漬臓器
3 血液が付着していない使用済み注射針
4 インフルエンザ(「鳥インフルエンザおよび新型インフルエンザ等感染症」を除く)の患者が使用した、血液が付着していない紙おむつ
5 結核患者の治療、検査などに使用された後、排出された手袋

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問 244    
問 245    

 e-REC解説

問244 解答 1、5

1 誤
針刺し事故時の次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒は有効ではない。針刺し・切創、皮膚・粘膜汚染の事故が起きた場合は、施行していた医療行為などを直ちに中止、血液・体液を速やかに除去することが重要であり、直ちに流水と石けんで十分に洗浄する。また、可能であればポピドンヨードや消毒用エタノールで消毒する。

2 正
B型肝炎ウイルス(HBV)に感染した患者に使用した針による針刺し事故の受傷者のHBs抗原が陽性もしくはHBs抗体が陽性の場合には、B型肝炎への新たな感染の可能性はないため、B型肝炎に対する処置の必要はない。
スクリーンショット 2018-09-05 12.51.52.png


3 正
解説2参照

4 正
HIVに感染した患者に使用した針による針刺し事故の受傷者に対して、速やかに(事故後2時間以内)抗HIV薬服用の是非を専門家と相談して決定し、抗HIV薬の投与を開始する。
スクリーンショット 2018-09-05 12.54.09.png


5 誤
解説4参照


問245 解答 4

選択肢のうち、感染性廃棄物に該当しないのは、インフルエンザ(「鳥インフルエンザおよび新型インフルエンザ等感染症」を除く)の患者が使用した、血液が付着していない紙おむつ(選択肢4)である。以下に、感染性廃棄物の判断フローを示す。
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