平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 280,281

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問 280  正答率 : 62.9%
問 281  正答率 : 63.5%

 国家試験問題

国家試験問題
86歳女性。骨粗しょう症で整形外科を受診し薬物治療を受けている。服用している薬剤は以下のとおりであった。
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しかし、最近になりアレンドロン酸ナトリウム錠が大きいために嚥下が困難になったので、薬局を訪れた。担当した薬剤師が医師に連絡したところ、次回より以下の処方に変更することになった。

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問280(実務)
処方箋を受け取った薬剤師は、すでに服用している錠剤の基本的な服用法を患者に対して再確認した。次に、このゼリー剤で注意することについて、新たに追加説明を行うことにした。その追加の内容として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 起床してすぐにコップ一杯の水で服用すること。
2 口の中で噛んだり、溶かしたりしないこと。
3 服用後、少なくとも30分たってから食事を摂ること。
4 低温(冷蔵庫など)を避けて保存すること。
5 カルシウムやマグネシウム等の含量が特に高い飲料で服用しないこと。


問281(薬剤)
本経口ゼリー剤の添加剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。なお、本経口ゼリー剤には、添加剤としてカラギーナン、ローカストビーンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、D-ソルビトール、クエン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピルが含まれる。

1 カラギーナンは、種類によってカルシウムイオンやカリウムイオンでゲル化するものがある。
2 ローカストビーンガムは、保存剤として添加されている。
3 ポリアクリル酸ナトリウムは、主薬の酸化に対する安定性を高める。
4 クエン酸ナトリウムは、乳化剤として添加されている。
5 パラオキシ安息香酸プロピルは、増粘剤として添加されている。

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問 280    
問 281    

 e-REC解説

問280 解答 4

アレンドロン酸ナトリウムの錠剤および経口ゼリー剤服用時の共通の注意事項として、服薬指導の際に伝えるのは主に下記の項目の内容である。
①起床してすぐにコップ一杯の水(約180 mL)とともに服用すること。
②口や喉に潰瘍ができる可能性があるため、本剤を口の中で噛んだり、溶かしたりしないこと。
③本剤を服用後、少なくとも30分たってからその日の最初の食事を摂り、食事を終えるまで横にならないこと。
④水以外の飲み物(Ca、Mg等の含量が高い飲料)とともに服用しないこと。
 
さらに、経口ゼリー剤服用時は下記の注意事項なども追加して伝える必要がある。
⑤低温では、有効成分の結晶が析出しやすくなるため、低温・凍結(冷蔵庫、冷凍庫など)を避けて保存すること。なお、結晶が析出した薬剤は服用しないこと。


問281 解答 1

1 正
カラギーナンはその種類によってゲル化性、ゲル化に最適なイオン、ゲルの特性が異なる。カッパカラギーナンはカリウムイオンでゲル化し、固くて脆く、離水の多いゲルを形成する。イオタカラギーナンはカルシウムイオンでゲル化し、柔らかく弾力性があり、離水の少ないゲルを形成する。 ラムダカラギーナンはその構造上、ゲルを形成することはない。また、カッパカラギーナンは、ローカストビーンガム(カロブビーンガム)と高い相乗効果があり、併用することでゲルが強くなるだけでなく、弾力性があり離水の少ないゲルになる。

2 誤
解説1参照

3 誤
ポリアクリル酸ナトリウムは、主薬の酸化に対する安定性を高める作用はない。ポリアクリル酸ナトリウムは、増粘剤として添加されている。

4 誤
クエン酸ナトリウムは、pH調整剤として添加されている。

5 誤
パラオキシ安息香酸プロピルは、保存剤として添加されている。

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