平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 200,201

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問 200  正答率 : 61.7%
問 201  正答率 : 68.3%

 国家試験問題

国家試験問題
医師から組換え医薬品に関する情報を求められた。そこで、薬剤師が組換え医薬品について情報収集を行った。

問200(実務)
組換え医薬品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 キメラ型の抗体医薬品は、ヒト由来の可変領域とマウス由来の定常領域を有する。
2 組換え型ワクチン(ウイルス様粒子ワクチン)は、生ワクチンと比較してワクチンに由来する感染症への感染リスクが低い。
3 組換え医薬品には、ステロイドホルモン、血液凝固因子、血小板活性化因子、サイトカイン、モノクローナル抗体などがある。
4 がん治療に用いられる抗体医薬品の標的には、細胞表面抗原や増殖因子、血管新生に関わる分子などがある。


問201(物理・化学・生物)
組換え医薬品に分類される抗体医薬品は凍結乾燥品であることが多い。組換え医薬品の凍結乾燥に関する記述の①、②の組合せとして適切なのはどれか。1つ選べ。

水に溶けている試料の凍結乾燥品を調製する場合、水の変化を表す主たる現象は( ① )である。また( ① )の現象の転移エンタルピーは、( ② )のプロットの傾きから求められる。
ただし、相転移温度と蒸気圧との関係は、次に示すクラペイロン・クラウジウスの式により表される。

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問 200    
問 201    

 e-REC解説

問200 解答 2、4

1 誤
キメラ型の抗体医薬品は、マウス由来の可変領域とヒト由来の定常領域を有する。

2 正
組換え型ワクチン(ウイルス様粒子ワクチン)は、ウイルス抗原の遺伝子を大腸菌や酵母に導入して作成したウイルス様粒子であり、抗原性を示すが、病原性を有しない。それに対し、生ワクチンは病原性を減じた病原体を用いたものである。
よって、組換え型ワクチン(ウイルス様粒子ワクチン)は、生ワクチンと比較してワクチンに由来する感染症への感染リスクが低い。

3 誤
組換え医薬品には、血液凝固因子、サイトカイン、モノクローナル抗体などがある。ステロイドホルモンや血小板活性化因子(PAF)は、組換え医薬品ではない。

4 正
がん治療に用いられる抗体医薬品(リツキシマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブなど)は、細胞表面抗原(CD20など)や増殖因子(HER2など)、血管新生に関わる分子(VEGFなど)などを標的としてがん細胞と結合する。


問201 解答 5


凍結乾燥法とは、薬物を溶かした水溶液を凍結させた後、減圧を行い、水を昇華させることにより、医薬品粉末を得る方法のことであり、熱に不安定な薬物の乾燥法として用いられる。


問題に与えられているクラペイロン・クラウジウスの式を積分すると、以下の式が得られる。
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上記の式を用いてx軸に1/T、y軸にlnpをプロットすると右図のようになり、その傾きから、転移エンタルピーを求めることができる。
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