平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 236,237

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問 236  正答率 : 72.3%
問 237  正答率 : 67.0%

 国家試験問題

国家試験問題
55歳男性。身長160 cm。体重70 kg。会社の事務職をしており、日頃運動不足である。会社の定期健康診断で、HbA1c値が基準値よりやや高いと指摘され、生活習慣について相談するため、薬局を訪れた。

問236(実務)
生活習慣の改善と目標に関する薬剤師の説明として適切でないのはどれか。2つ選べ。

1 HbA1c値は、過去3〜4ヶ月の血糖値の平均値を反映する。
2 糖尿病の発症初期にはほとんど自覚症状がない場合が多い。
3 1回30分程度の歩行を毎日2回以上行うことを目標にする。
4 水中歩行は、膝などの関節への負担も少なく、血糖値のコントロールに有効である。
5 食事療法では、糖質の摂取量に注意すれば、他の栄養素の摂取は特に注意する必要はない。


問237(衛生)
生活習慣病に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 腹囲が基準値を超え、高血圧、高血糖、脂質代謝異常の3つすべてが当てはまったときにのみ、メタボリックシンドロームと判定される。
2 LDL-C(低密度リポタンパク質コレステロール)、HDL-C(高密度リポタンパク質コレステロール)、中性脂肪の血中濃度が、いずれも基準値より高いと、脂質異常症と判定される。
3 現在、我が国の糖尿病患者のうち、90%以上は2型糖尿病である。
4 糖尿病は、虚血性心疾患や脳梗塞のリスクファクターとなる。
5 血糖値をコントロールすることにより、腎症、網膜症、神経障害などの合併症を予防することは、糖尿病の二次予防にあたる。

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問 236    
問 237    

 e-REC解説

問236 解答 1、5

1 不適切
HbA1c値は、過去1〜2ヶ月の血糖値の平均値を反映する。

2 適切
糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病に大別され、生活習慣に大きく関与するのは2型糖尿病(糖尿病患者の90%以上)である。糖尿病の発症初期は、自覚症状がほとんどない。そのため、長期間放置されやすく、自覚症状がある頃には三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)を引き起こしていることもある。

3 適切
解説4参照。

4 適切
血糖値のコントロールに歩行やジョギングなどの有酸素運動が有効である。
なお、歩行に関しては、1回15〜30分 1日2回 週に3〜5回が推奨されている。

5 不適切
血糖値をコントロールする食事療法では、糖質、脂質、タンパク質のバランスを検討する。また、糖質、脂質、タンパク質だけでなく、ビタミンやミネラルなどの栄養素もバランスよく摂取することが望ましい。

問237 解答 3、4

1 誤
メタボリックシンドロームの診断基準の必須項目として腹囲がある。これに加えて、血圧・血糖・脂質の3項目のうち、2つ以上基準値を超えていれば、メタボリックシンドロームと診断される。
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2 誤
LDLコレステロール(LDL−C)及びトリグリセリド(中性脂肪)は基準値より高い場合、HDLコレステロール(HDL−C)は基準値より低い場合に脂質異常症と診断される。また、LDL、HDL、トリグリセリドの基準値のうち、いずれか1つを満たした場合に脂質異常症と診断される。以下、脂質異常症の診断基準を示す。
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3 正
糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病に分類される。このうち、大部分(90%以上)を占めるのは2型糖尿病である。

4 正
糖尿病は動脈硬化を引き起こすため、糖尿病に罹患すると、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳梗塞などの病気に罹患しやすくなる。そのため、糖尿病は、虚血性心疾患や脳梗塞のリスクファクターとなる。

5 誤
血糖値をコントロールすることにより、腎症、網膜症、神経障害などの合併症を予防することは、糖尿病の三次予防にあたる。なお、二次予防は早期発見・早期治療を目的としている。

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