平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 220,221

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問 220  正答率 : 44.5%
問 221  正答率 : 83.8%

 国家試験問題

国家試験問題
55歳男性。現在、統合失調症の治療のためピモジド製剤を服用中で、コントロール良好である。健康診断(人間ドッグ)にて混合型脂質異常症及び萎縮性胃炎との診断を受けた。ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染の疑いがあり精査したところ陽性であった。
そこで、脂質異常症の治療及びピロリ菌の除菌をすることになり、以下の処方せんを持って薬局を訪れた。
スクリーンショット 2016-07-09 9.40.17.png

問220(実務)
この処方せんを受け取った薬剤師が、疑義照会すべき内容はどれか。2つ選べ。

1 プラバスタチンNa錠の用法
2 イコサペント酸エチルカプセルの用法
3 ランソプラゾールカプセルとイコサペント酸エチルカプセルの相互作用
4 アモキシシリンカプセルとプラバスタチンNa錠の相互作用
5 クラリスロマイシン錠とピモジド製剤の相互作用


問221(物理・化学・生物)
ピロリ菌は、菌に特徴的な代謝反応を利用して胃内で生存することができる。この反応は、菌による感染の診断法として用いられている。この代謝反応はどれか。1つ選べ。

1 L-グルタミンからL-グルタミン酸とアンモニアを生成する反応
2 ホスホエノールピルビン酸とADPからピルビン酸とATPを生成する反応
3 尿素からアンモニアと二酸化炭素を生成する反応
4 L-アルギニンから尿素とL-オルニチンを生成する反応
5 アセチルCoAとオキザロ酢酸から補酵素A(CoA)とクエン酸を生成する反応

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問 220    
問 221    

 e-REC解説

問220 解答 2、5

1 誤
プラバスタチンNa錠は、通常、成人では1日10 mgを1回又は2回に分け服用する。本薬物の用法は問題なく、疑義照会する必要はない。

2 正
イコサペント酸エチルカプセルは、脂質異常症に用いる場合、通常、成人では1回900 mgを1日2回、又は1回600 mgを1日3回食直後に服用する。本処方では食前投与となっているため、疑義照会する必要がある。

3 誤
ランソプラゾールカプセルとイコサペント酸エチルカプセルとの相互作用は報告されていない。

4 誤
アモキシシリンカプセルとプラバスタチンNa錠との相互作用は報告されていない。

5 正
クラリスロマイシン錠のCYP3A4に対する阻害作用により、ピモジド製剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性があるため、両薬剤は併用禁忌である。


問221 解答 3

ピロリ菌の感染の診断法として用いられている代謝反応は、尿素からアンモニアと二酸化炭素を生成する反応である。
ピロリ菌が生成するウレアーゼは、以下の反応を触媒する。
スクリーンショット 2016-07-09 9.40.53.png

その結果、生成したアンモニアが胃酸を中和するため、ピロリ菌は胃内でも生存することが可能となる。

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