平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 101

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問 101  正答率 : 64.0%

 国家試験問題

国家試験問題
以下に示すE2反応に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
スクリーンショット 2019-06-13 16.57.32.png


1 化合物Aの最も安定な立体配座はⅡである。


2 脱離反応はⅠの立体配座のときに進行する。


3 主生成物はBである。


4 この反応はカルボカチオン中間体を経由する。


5 この反応の速度は、化合物A及びNaOC2H5のいずれの濃度にも比例する。

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問 101    

 e-REC解説

解答 1、5

1 正
シクロヘキサン誘導体の最も安定な立体配座は、立体障害の大きな置換基がエクアトリアル位に存在するものである。化合物Aの最も立体障害の大きな置換基はイソプロピル基であるので、イソプロピル基がエクアトリアル位に存在する立体配座Ⅱが最も安定である。

2 誤
E2反応は、塩基性条件下において、アンチペリプラナーの関係にある脱離基(−Cl)とHがほぼ同時に脱離する1段階反応である。シクロヘキサン誘導体において、脱離基(−Cl)と隣接するHがともにアキシャル位に存在する場合にアンチペリプラナーの関係にあるといえるため、脱離反応は脱離基(−Cl)と隣接するHがアキシャル位に存在するⅡの立体配座のときに進行する。

3 誤
本反応で脱離するHは、脱離基(−Cl)とアンチペリプラナーの関係になれる①か②のHである。①のHが脱離した場合は二置換アルケン(B)が生成し、②のHが脱離した場合は三置換アルケン(C)が生成するため、ザイチェフ則に従い、熱力学的に安定な多置換アルケンであるCが主生成物となる。
スクリーンショット 2019-06-13 16.59.45.png


4 誤
E2反応は1段階反応であり、カルボカチオン中間体を経由しない。なお、カルボカチオン中間体を経由する反応には、E1反応、SN1反応などが存在する。

5 正
E2反応は2次反応速度論に従い、反応速度は基質である化合物Aの濃度と試薬であるNaOC2H5のいずれの濃度にも比例する。

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