平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 106

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問 106  正答率 : 40.8%

 国家試験問題

国家試験問題
図は桂皮酸イソプロピルエステル[C6H5CH=CHCOOCH(CH3)2]の1H−NMRスペクトル[300 MHz、CDCl3、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)]である。このスペクトルに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。なお、7.26 ppmのシグナルはCDCl3に含まれる微量のCHCl3に起因するものである。
スクリーンショット 2019-06-13 18.52.50.png


1 1.3 ppm付近には積分値が3H分の一重線が2本である。
2 5.2 ppm付近には五重線がある。
3 6.5 ppm付近の二重線の結合定数が16 Hzであるとき、二重結合はE 配置である。
4 矢印で示す7.5 ppm付近の多重線の積分値は3H分ある。
5 最も低磁場のシグナルは、芳香環上のプロトンに由来する。

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問 106    

 e-REC解説

解答 3

桂皮酸イソプロピルエステルの構造式及び化学シフト値は、以下のとおりである。
スクリーンショット 2019-06-13 18.54.56.png

1 誤
1.3 ppm付近のシグナル(a)は、イソプロピル基の2つのメチル基が等価なプロトンのため、プロトンの数をあらわす積分値は6H分となり、メチンプロトン(−CH)に隣接していることから、シグナルは二重線で1本観測される。

2 誤
5.2 ppm付近のシグナル(b)は、隣接するイソプロピル基の2つのメチル基(−CH3)により、七重線となる。

3 正
シグナルの分裂の間隔を結合定数(J値)といい、二置換アルケンでは、プロトンの配置によってJ値が異なる。水素がcis配置(Z 配置)では結合定数(J値)が8〜12 Hz、水素がtrans配置(E 配置)では結合定数が14〜17 Hzのシグナルが観測される。よって、6.5 ppm付近の二重線のシグナル(c)の結合定数が16 Hzであるとき、二重結合はE 配置である。

4 誤
矢印で示す7.5 ppm付近の多重線のシグナル(f)の積分値は2H分である。

5 誤
最も低磁場(ppmが大きい側)のシグナルは、二置換アルケンのプロトン(g)に由来する。

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