平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 132

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問 132  正答率 : 80.2%

 国家試験問題

国家試験問題
残留塩素による大腸菌の99%不活性化に要する濃度と作用時間の関係を図に示した。水の塩素処理及び図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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1 次亜塩素酸(HClO)は、次亜塩素酸イオン(ClO)と比較すると、同濃度あるいは同作用時間では、大腸菌の99%不活性化の効果が高い。
2 ClOは水道水質基準を満たしていれば、大腸菌を10分以内に99%不活性化することができる。
3 モノクロラミン(NH2Cl)は、水道水の水質管理目標値(残留塩素1 mg/L以下)において大腸菌を10分以内に99%不活性化することができる。
4 3種の残留塩素を比較した場合、有効塩素濃度(C)と99%不活性化に要する作用時間(T)の積(CT値)が大きいほど大腸菌に対する消毒効果が高い。
5 HClO、ClO及びNH2Clは、いずれも水泳プールに係る学校環境衛生基準において、水道水質基準と同様の基準値が定められている。

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問 132    

 e-REC解説

解答 1、2

残留塩素とは、塩素処理の結果、水中に残留している有効塩素のことをいい、遊離残留塩素と結合残留塩素に大別される。次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)は遊離残留塩素、モノクロラミン(NH2Cl)、ジクロラミン(NHCl2)などは結合残留塩素に分類される。図より、同作用時間での濃度を比較すると、大腸菌の99%不活性化の効果の大小関係はHClO>ClO>NH2Clとなることがわかる。

1 正
前記参照

2 正
水道水質基準において、遊離残留塩素は0.1 mg/L以上(結合残留塩素の場合0.4 mg/L以上)と基準が設定されている。図より、ClOは0.1 mg/L以上の濃度で大腸菌を10分以内に99%不活性化できることが読みとれるため正答となる。

3 誤
図より、モノクロラミン(NH2Cl)は、水道水の水質管理目標値(残留塩素1 mg/L以下)において大腸菌を99%不活性化するのに10分以上かかることが読みとれる。

4 誤
有効塩素濃度(C)と99%不活性化に要する作用時間(T)はともに小さい方が消毒効果は高い。よって、CT値(有効塩素濃度×作用時間)は小さいほど大腸菌に対する消毒効果が高い。

5 誤
HClO、ClO及びNH2Clは、いずれも水泳プールに係る学校環境衛生基準において、水道水質基準とは異なった基準値が定められている。なお、水泳プールに関わる学校環境衛生基準において、遊離残留塩素は0.4〜1.0 mg/Lが望ましいとされており、結合残留塩素は基準値が定められていない。

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