平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 133

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問 133  正答率 : 48.7%

 国家試験問題

国家試験問題
ウィンクラー法による水中の溶存酸素量(DO)の測定法の概略を以下にまとめた。

【操作A】 試料水で充満させた測定瓶にMnSO4溶液1 mL及びアルカリ性ヨウ化カリウム(KI)・アジ化ナトリウム溶液1 mLを加え、栓をした後、転倒混和し、静置する。
【操作B】 濃硫酸1 mLを、沈殿を巻き上げないように測定瓶に加え、直ちに栓をして転倒混和する。
【操作C】 測定瓶から試料水の一定量を分取し、生じたヨウ素の量をデンプン試薬を用いてチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。
スクリーンショット 2019-06-17 10.20.27.png


この方法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 操作Aでアジ化ナトリウムを加えるのは、試料水中の亜硝酸イオンと溶存酸素との反応を促進させるためである。
2 操作Aによって生じた沈殿は、亜マンガン酸である。
3 操作Aを行った後、上清中のDOは、この操作の原理上、ゼロとなる。
4 操作Bにより沈殿が消失し、溶液が黄色になるのは、硫酸酸性下でKIが還元されるためである。
5 操作Cにおける滴定の終末点の前後で溶液の色は無色から青色へ変化する。

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問 133    

 e-REC解説

解答 2、3

ウィンクラー法の概略を以下に示す。
まず、【操作A】において、試料水で充満させた測定瓶にMnSO4溶液及びアルカリ性ヨウ化カリウム(KI)・アジ化ナトリウム(NaN3)溶液を加えると、Mn(OH)2となり、これが水中の溶存酸素(DO)に酸化され、亜マンガン酸(H2MnO3)を生じる。(反応①)
スクリーンショット 2019-06-17 10.23.22.png

次に、【操作B】において、濃硫酸を加えた酸性条件で、沈殿したH2MnO3と【操作A】で加えたKIが反応し、DOと当量のI2が遊離する。(反応②)
遊離したI2は、【操作C】において、デンプン試薬を用いてチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)溶液で滴定することにより、水中のDOを求めることができる。なお、【操作A】で加えたNaN3は、溶存酸素を消費しやすい亜硝酸イオン(NO2-)を除去する目的で加えている。
スクリーンショット 2019-06-17 10.25.05.png

1 誤
操作Aでアジ化ナトリウム(NaN3)を加えるのは、試料水中の亜硝酸イオン(NO2-)と溶存酸素との反応を抑制させるためである(前記参照)。

2 正
前記参照

3 正
操作Aを行なうと試料中のDOはすべてMn(OH)2と反応して、亜マンガン酸の沈殿が生じる。そのため、上清中のDOは、この操作の原理上、ゼロとなる。

4 誤
操作Bにより沈殿が消失し、溶液が黄色になるのは、硫酸酸性下でKIが酸化され、I2(黄色)が生成するためである。

5 誤
デンプン指示薬はI2と反応し、青紫色となるが、滴定の終末点ではI2は存在しないため、無色へと変化する。

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