平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 310,311

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問 310  正答率 : 65.9%
問 311  正答率 : 96.0%

 国家試験問題

国家試験問題
58歳男性。肺がん、ステージⅣ。強い疼痛を訴えていたため、アセトアミノフェン錠とフェンタニル経皮吸収型貼付剤が投与されていた。患者の希望で緩和ケア病棟に1週間前に入院となった。腎機能は、直近のデータでCcr 20 mL/minである。入院後、疼痛コントロールが不良になったため、フェンタニル経皮吸収型貼付剤の増量が行われたが、痛みに対する効果が改善されなかった。

問310(実務)
この患者の担当薬剤師が医師に処方提案する内容として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 オキシコドン徐放錠への変更
2 コデインリン酸塩散への変更
3 プレガバリン口腔内崩壊錠への変更
4 モルヒネ硫酸塩徐放錠への変更
5 モルヒネ塩酸塩坐薬への変更


問311(法規・制度・倫理)
薬剤師が病室を出ようとしたところ、患者が「もう早く死んでしまいたい。家族にも迷惑をかけるし、何とかしてください。」と涙ながらに訴えた。薬剤師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 「そんなことを言わずに頑張ってください!」と激励する。
2 言われたことは誰にも伝えず、自分の心の中にしまっておく。
3 患者の訴えを医療スタッフと共有する。
4 突然の訴えに驚き、病室から立ち去る。
5 患者の話を共感しながら傾聴する。

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問 310    
問 311    

 e-REC解説

解答 1

がん疼痛治療の基本はWHO方式3段階がん除痛ラダーに準じて患者の痛みの強さに応じた鎮痛薬を選択することであり、使用している鎮痛薬で除痛効果が不十分であれば、より効果が強い鎮痛薬を使用する。

【WHO3段階除痛ラダー】
・第1段階 
 非オピオイド系鎮痛薬(NSAID、アセトアミノフェン)+必要に応じて鎮痛補助薬
・第2段階
 弱オピオイド系鎮痛薬(コデイン、ペンタゾシンなど)+必要に応じて非オピオイド系鎮痛薬、鎮痛補助薬
・第3段階
 強オピオイド系鎮痛薬(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど)+必要に応じて非オピオイド系鎮痛薬、鎮痛補助薬

本患者が使用しているフェンタニル経皮吸収型貼付剤は、WHO方式3段階がん除痛ラダーの第3段階で使用する薬物であり、増量しても効果が得られないとあるのでオピオイドローテーションを行う。オピオイドローテーションに使用できるのは、モルヒネ製剤、オキシコドン製剤、フェンタニル製剤である。また、本患者は、Ccr(基準値120〜130 mL /min)が低下していることから、腎機能障害を有していると推察されるため、モルヒネ製剤に変更するとモルヒネの活性代謝物の蓄積により、副作用が発現しやすくなる。したがって、オキシコドン徐放錠への変更が適切である。


問311 解答 3、5

患者の訴えの理由(原因)を明確にし、解決に向けて薬剤師だけではなく、他の医療スタッフも含めてチームで対応することが望ましい。そのためには、患者の意見に共感、傾聴し、医療スタッフとその内容を共有し、解決に向けた提案をすることが望ましい。

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