平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 222,223

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問 222  正答率 : 55.5%
問 223  正答率 : 73.9%

 国家試験問題

国家試験問題
78歳男性。経営している会社の業務量が最近急増し、デスクワークが毎日続いたため、眼精疲労と肩こりを強く感じ、一般用医薬品を購入するため来局した。男性が所持していたお薬手帳により、服用中の薬を確認した。男性はパーキンソン病で以下の処方薬を服用していることが判明した。

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問222(実務)
現在、薬局には以下の成分を含む一般用医薬品がある。この男性に販売するのに適切なのはどれか。2つ選べ。

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問223(物理・化学・生物)
前問において、販売すべきでないと薬剤師が総合的に判断した根拠のうち、レボドパの代謝に関わる反応とそれに必要なビタミンの組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。

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問 222    
問 223    

 e-REC解説

問222 解答 3、4

本患者は、デスクワークに起因する眼精疲労や肩こりに有効な一般用医薬品を求めているため、疲労回復効果のあるビタミン剤、痛みをやわらげる効果のある消炎鎮痛剤などの成分が含まれる一般用医薬品を販売するのが適切である。その際、パーキンソン病の治療目的で処方されているレボドパの代謝などに影響を与える成分が含まれるものは避けなければならない。特に注意しなければならない一般用医薬品の成分としては、末梢におけるレボドパからドパミンへの脱炭酸反応を促進し、レボドパの脳内移行量を低下させる恐れがあるビタミンB6が挙げられる。

1 誤
設問の一般用医薬品の成分には、レボドパの代謝に影響を与えるピリドキサールリン酸エステル水和物(活性型ビタミンB6)が含まれるため、本患者に販売するのは適切ではない。

2 誤
設問の一般用医薬品の成分には、非ステロイド性酸性抗炎症薬(NSAIDs)であるイブプロフェン、去痰作用をもつブロムヘキシン、鎮咳作用をもつジヒドロコデインやメチルエフェドリンなどが含まれていることから、設問の一般用医薬品は総合感冒薬と判断できる。本患者は眼精疲労および肩こりで来局していることから、本患者に販売するのは適切ではない。

3 正
設問の一般用医薬品の成分には、ビタミンB1であるチアミン硝化物やコンドロイチン硫酸エステルナトリウムが含まれていることから、神経痛、筋肉痛、関節痛、眼精疲労などの緩和に用いられる。そのため、本患者に販売するのは適切である。

4 正
設問の一般用医薬品の成分には、消炎鎮痛成分であるボウイ乾燥エキス、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム、ビタミンB1誘導体であるベンフォチアミン、ビタミンB12であるシアノコバラミン、ビタミンEであるトコフェロールコハク酸エステルカルシウムが含まれていることから、神経痛、筋肉痛、関節痛、眼精疲労などの緩和に用いられる。そのため、本患者に販売するのは適切である。

5 誤
設問の一般用医薬品の成分には、レボドパの代謝に影響を与えるピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)が含まれるため、本患者に販売するのは適切ではない。


問223 解答 2

レボドパはアミノ酸構造を有するため、投与後血液脳関門においてアミノ酸トランスポーターにより脳内に移行し、脳内のアミノ酸脱炭酸酵素によりドパミンに変換されることで、パーキンソン病の症状を改善する。このレボドパからドパミンへの代謝反応である脱炭酸には、補酵素としてピリドキサールリン酸(活性型ビタミンB6)が関与する。そのため、ビタミンB6を含む一般用医薬品などと併用すると、脳内移行前の末梢においてレボドパからドパミンへの変換が促進されることにより、レボドパの脳内移行量が低下するため作用が減弱する恐れがある。

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