平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 220,221

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問 220  正答率 : 61.4%
問 221  正答率 : 65.2%

 国家試験問題

国家試験問題
88歳男性。独居。現在、高血庄症で以下の処方により在宅療養中であり、日中もほとんど寝たきりの生活をしている。

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患者は過去に貼付剤による接触性皮膚炎を発症したことがある。また、患者は1人で服薬できないため、50歳の一人娘が毎朝出勤前に薬の管理と服薬介助をしている。娘はこれ以上の介護負担は困難だと考え、将来に不安を感じている。医師からは、血液検査結果に異常は認められないが、最近、患者の嚇下能力が低下し始めているので、誤嚥に注意するように言われている。

問220(物理・化学・生物)
患者の娘が仕事帰りに薬局に立ち寄り、「誤嚥はどのようにして起こるのですか」と薬剤師に質問した。正常な嚥下及び誤嚥の過程について、下図を用いた薬剤師の説明として正しい組合せはどれか。1つ選べ。なお、下図は、口腔から食道・気管までの断面図である。

A 咽頭口部への移送
B 咽頭喉頭部への移送
C 喉頭蓋による気道の閉鎖
D アへの移送
E イへの移送

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問221(実務)
本日の訪問診療で、医師は軽度アルツハイマー型認知症と診断し、薬局に処方提案を依頼した。依頼を受け、薬剤師はアルツハイマー型認知症に適応のある医薬品の用法及び剤形を表のようにまとめた。患者の生活状況、全身状態、疾患などを考慮して、訪問医に追加提案する薬剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

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1 ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠
2 ガランタミン臭化水素酸塩口腔内崩壊錠
3 ガランタミン臭化水素酸塩内用液
4 リバスチグミン経皮吸収型製剤
5 メマンチン塩酸塩口腔内崩壊錠

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問 220    
問 221    

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問220 解答 5

図中のアは気管から肺への移送を示し、イは食道から胃への移送を示している。食塊は口腔内で咀嚼された後、咽頭口部に移送される。咽頭口部に移送された食塊は嚥下反射を起こし、咽頭蓋が気道の閉鎖を行う。その後、食塊は咽頭喉頭部に移送され、食道を経て胃へ移送される。よって正常な嚥下の過程はA→C→B→Eである。それに対して誤嚥は、筋力の低下や嚥下反射の機能低下によって咽頭蓋による気道の閉塞が遅延し、食塊が気管の方へ移送してしまうことをいう。よって誤嚥の過程はA→B→Dである。


問221 解答 1

本患者へ追加する薬剤の提案として以下の点を考慮する必要がある

① 過去に貼付剤による接触性皮膚炎を発症したことがある。
② 1人で服薬できないため、50歳の一人娘が毎朝出勤前に薬の管理と服薬介助をしている。
③ 娘はこれ以上の介護負担は困難だと考えている。
④ 医師より、患者の嚇下能力が低下し始めているので、誤嚥に注意するように言われている。

1 適切
ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠の提案は、1日1回服用で服用回数が変わらないこと、誤嚥のリスクが他の剤形に比べ低いことから、最も適切である。

2 不適切
ガランタミン臭化水素酸塩口腔内崩壊錠の提案は、1日2回服用と服用回数が増え飲み忘れのリスクが上がるため、不適切である。

3 不適切
ガランタミン臭化水素酸塩内用液の提案は、誤嚥のリスクを考えると不適切である。内用液のような液剤を投与する際は、とろみを付けるなど誤嚥を回避するような配慮が必要である。

4 不適切
リバスチグミン経皮吸収型製剤の提案は、過去の貼付剤による接触性皮膚炎を発症したことがあるため、不適切である。

5 不適切
メマンチン塩酸塩口腔内崩壊錠は、中等度〜高度アルツハイマー型認知症に適応を有する。本患者は軽度アルツハイマー型認知症と診断されているため、本剤の提案は不適切である。

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