令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 116

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問 116  正答率 : 52.3%

 国家試験問題

国家試験問題
タンパク質Xは、細胞質内ではサブユニットA(分子量60,000)とサブユニットB(分子量30,000)がそれぞれ1つずつ非共有結合で会合したヘテロ二量体を形成している。タンパク質Xは、増殖因子Fの刺激によりサブユニットAのみチロシン残基がリン酸化され、サブユニットBと解離する。
培養細胞を用いて以下の実験を行った。予想される結果として正しいのはどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2020-06-11 12.06.19.png

ただし、Fによる刺激で、A、B両サブユニットの発現量に変化はなく、分解も起こらないこと、また、チロシン残基がリン酸化されても、電気泳動移動度、抗Aによる免疫沈降及びウエスタンブロット法における認識には変化がないことを確認している。
スクリーンショット 2020-06-11 12.06.37.png

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問 116    

 e-REC解説

解答 1

本実験では、未刺激の細胞からの抽出液(−)と増殖因子Fにより刺激した細胞からの抽出液(+)が用いられている。これらの抽出液について以下に示す。
スクリーンショット 2020-06-11 12.13.23.png

次にそれぞれの沈降物に対してSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)及びウエスタンブロットを行う。
これにより、未刺激の細胞からの抽出液(−)の沈降物は、最初はAとBのヘテロ二量体に抗Aが結合した形をとっているが、SDSによりタンパク質の結合が破壊されることによりAとBは解離し、それぞれが泳動される。その結果、SDS−PAGEでは分子量の小さい成分ほど移動しやすいのでAよりもBの方が移動距離は大きくなる。
また、増殖因子Fにより刺激した細胞からの抽出液(+)の沈降物は、Aが抗Aと結合した形をとっているが、Bは含まれていない。
したがって、実験後のバンドの有無とSDS−PAGEにおける移動度の考察は以下のようになる。
スクリーンショット 2020-06-11 12.14.51.png

以上の結果から、本実験の結果として考察されるのは、選択肢1である。

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