令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 161

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問 161  正答率 : 56.7%

 国家試験問題

国家試験問題
1型糖尿病の治療に用いられる下図の構造の薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

スクリーンショット 2020-06-12 17.33.48.png

1 高血糖時にのみ作用を示すので、低血糖を起こしにくい。
2 チロシンキナーゼ内蔵型受容体に作用し、ホスファチジルイノシトール 3−キナーゼを阻害する。
3 マルチヘキサマーを形成し、作用が持続する。
4 膵β細胞からのインスリン分泌を促進する。
5 骨格筋細胞において、グルコーストランスポーター4(GLUT4)を含む小胞の細胞膜への移行を促進する。

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問 161    

 e-REC解説

解答 3、5

設問の構造の薬物は、持効型インスリン製剤のインスリン デグルデクである。

1 誤
本剤のようなインスリン製剤は、血糖非依存的に血糖降下作用を示すため、食事を摂取しなかったり、激しい運動を行った場合などは、低血糖を引き起こしやすくなるため注意が必要である。なお、設問の記述が該当するのはインクレチン製剤であり、インクレチン製剤は血糖依存的に血糖降下作用を示すため、副作用の低血糖が起こりにくい。

2 誤
インスリン製剤は、チロシンキナーゼ内蔵型受容体であるインスリン受容体に結合することにより、受容体内β鎖に存在するチロシンキナーゼを活性化する。活性化されたチロシンキナーゼは、さらにホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ(PI3K)を活性化することにより、骨格筋細胞において、グルコーストランスポーター4(GLUT4)の細胞膜への移行を促進するなどのインスリン様の生理作用を示す。

3 正
インスリン デグルデクは、製剤中では可溶性のダイヘキサマーとして存在するが、投与後、皮下組織において自己会合し可溶性で安定なマルチヘキサマーを形成し、一時的に注射部皮下組織にとどまる。その後、インスリン デグルデクのマルチヘキサマーからモノマーが徐々に解離して、投与部位から徐々に吸収され作用することで、長い作用持続時間をもたらす。

4 誤
インスリン デグルデクは、インスリン製剤でありインスリン受容体に結合することで作用を示すだけなので、インスリン分泌を促進する作用はもたない。なお、インスリン分泌を促進する糖尿病治療薬としては、グリメピリドなどのスルホニル尿素系薬剤(SU剤)やナテグリニドなどの速効型インスリン分泌促進薬があげられる。

5 正
解説2参照

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