令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 106

Pin Off  未ブックマーク    |  |  |   
問 106  正答率 : 58.5%

 国家試験問題

国家試験問題
図は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)によってアセチルコリンが加水分解される際の初期段階の反応機構と2種類のAChE阻害剤A、Bの構造を示したものである。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

スクリーンショット 2020-06-15 17.40.53.png

1 グルタミン酸-ヒスチジンの相互作用により、ヒスチジンのイミダゾリル基の塩基性が高くなる。
2 グルタミン酸-ヒスチジン-セリンの三つのアミノ酸残基間の相互作用によって、セリンのヒドロキシ基の求電子性が高くなる。
3 アセチルコリンはトリプトファンとイオン結合している。
4 AChE阻害剤Aはセリンのヒドロキシ基を不可逆的にアミド化する。
5 AChE阻害剤Bはセリンのヒドロキシ基を不可逆的にリン酸化する。

 解説動画  ( 00:00 / 17:23 )

限定公開

 ビデオコントロール

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 106    

 e-REC解説

解答 1、5

アセチルコリンエステラーゼ(AChE)は、アセチルコリン(ACh)の4級アンモニウム構造の陽イオンを引き寄せる「陰性部」とAChを酢酸とコリンに加水分解する「エステル水解部」からなる酵素である。

スクリーンショット 2020-06-15 17.41.08.png

1 正
グルタミン酸の−COO-がヒスチジンのイミダゾリル基のプロトン(H)を引き抜くことにより、ヒスチジンのイミダゾリル基の電子密度が増加し、塩基性が高くなる。

スクリーンショット 2020-06-15 17.41.16.png

2 誤
塩基性の増加したヒスチジンのイミダゾリル基(解説1参照)がセリンのヒドロキシ基のプロトン(H)を引き抜くことにより、セリンのヒドロキシ基の電子密度が増加し、求核性が高くなる。

スクリーンショット 2020-06-15 17.41.21.png

3 誤
AChの4級アンモニウム構造の陽イオン(カチオン)と、トリプトファンのインドール骨格のπ電子系が、カチオン-π相互作用している。なお、トリプトファンのインドール環に陰イオン(アニオン)は存在しないため、イオン結合することはできない。

4 誤
AChE阻害剤Aはネオスチグミンであり、AChEのセリンのヒドロキシ基を可逆的にアミド化(カルバモイル化)することで、AChEを阻害する。

5 正
AChE阻害剤Bはサリンであり、AChEのセリンのヒドロキシ基を不可逆的にリン酸化することで、AChEを阻害する。

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします