令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 169

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問 169  正答率 : 62.9%

 国家試験問題

国家試験問題
薬物の吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。２つ選べ。

１　抗コリン薬は、胃内容排出速度を増大させ、経口投与された併用薬の最高血中濃度到達時間の短縮や最高血中濃度の上昇を引き起こす。
２　鼻粘膜は、重層扁平上皮細胞からなり、細胞間は密着結合により強固に結合しているため、バリアー機能は高く、高分子薬物の吸収部位としては不適である。
３　皮膚の角質層は皮膚を構成する層の中で最も厚いため、薬物の経皮吸収における最大の障壁となる。
４　口腔粘膜からの薬物吸収は、一般に受動拡散によって起こるが、その吸収速度は部位により異なり、舌下粘膜で大きい。
５　直腸下部からの薬物吸収は、門脈や肝臓を通過せずに全身循環に移行するため、肝初回通過効果を回避できる。

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問 169    
 答え合わせ

 e-REC解説

解答　４、５

１　誤
抗コリン薬は、胃内容排出速度を低下させ、経口投与された併用薬が単純拡散で吸収される場合一般に最高血中濃度到達時間の延長や最高血中濃度の低下を引き起こす。

２　誤
鼻粘膜は、鼻前庭、呼吸部、臭部からなり、鼻前庭は重層扁平上皮細胞、呼吸部、臭部は多列繊毛上皮細胞により構成される。薬物の吸収は呼吸部で行われ、呼吸部粘膜を形成する多列繊毛上皮細胞はバリアー機能が低い。そのため、脂溶性薬物のみならず水溶性薬物や高分子化合物も一部吸収され、一般に薬物吸収は良好である。

３　誤
皮膚は、大別して表皮、真皮、皮下組織の3層からなり、表皮の最も外層は角質層とよばれる。角質層は、厚さ10〜15 µm程度の薄い細胞層ではあるが、物質の透過性が極めて低く薬物の経皮吸収における最大の障壁となる。

４　正
口腔粘膜からの薬物吸収は、一般に受動拡散（単純拡散）によって起こりpH分配仮説に従う。口腔粘膜は部位により角質層の有無や厚さが異なるため、部位により吸収速度が異なり舌下粘膜では吸収速度が大きい。

５　正
直腸下部からの薬物吸収は、門脈や肝臓を通過せずに直接全身循環血中に移行するため、肝初回通過効果を回避できる。

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