令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 270,271

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問 270  正答率 : 46.8%
問 271  正答率 : 67.8%

 国家試験問題

国家試験問題
58歳男性。体重60 kg。生体腎移植を受けるため入院した。持病である胃潰瘍、高コレステロール血症及び三叉神経痛の治療のため、以下の薬剤を服用している。

スクリーンショット 2020-06-25 21.35.26.png

この患者に対し、手術前にタクロリムス12 mgに相当するタクロリムス水和物徐放性カプセルを経口単回投与した。タクロリムスの血中濃度を数回測定し、解析したところ、血中濃度時間曲線下面積720 ng・h/mLとなり、これは母集団平均値の約2倍であった。

問270(実務)
病棟担当薬剤師は、術後の投与量設定を医師と打ち合わせるため、タクロリムスの血中濃度が高値となった原因を探索した。原因として可能性が高いのはどれか。1つ選べ。

1 CYP2C19の変異型遺伝子をホモで有している。
2 CYP3A5の変異型遺伝子をホモで有している。
3 ラベプラゾールナトリウム錠の併用
4 ピタバスタチンカルシウム口腔内崩壊錠の併用
5 カルバマゼピン錠の併用


問271(薬剤)
術後、タクロリムス水和物徐放性カプセルを経口投与し、定常状態におけるタクロリムスの平均血中濃度を10 ng/mLとしたい。この患者に対するタクロリムスの1日投与量(mg/day)として最も適切なのはどれか。1つ選べ。ただし、この患者におけるタクロリムスの全身クリアランス及びバイオアベイラビリティは腎移植前後で変化しないものとする。

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問 270    
問 271    

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問270 解答 2

タクロリムスは、肝臓や消化管に存在するCYP3A4CYP3A5によって代謝される。CYP3A5には遺伝子多型が存在し、CYP3A5の変異型遺伝子をホモで有している患者は、CYP3A5活性をもたずCYP3A4のみでタクロリムスを代謝するため、タクロリムスの血中濃度が高値で推移する。


問271 解答 3

繰り返し投与における投与量Dpoは①式より求めることができる。

スクリーンショット 2020-06-25 21.37.51.png

また、CLtotは②式で表すことができる。

スクリーンショット 2020-06-25 21.39.03.png

①式に②式を代入すると③式となる。

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設問文より「タクロリムス12 mgに相当するタクロリムス水和物徐放性カプセルを経口単回投与」「タクロリムスの血中濃度を数回測定し、解析したところ、血中濃度時間曲線下面積720 ng・h/mL」「定常状態におけるタクロリムスの平均血中濃度を10 ng/mL」とあるため、Dpo=12 mg、AUCpo=720 ng・h/mL、
Css.av=10 ng/mLとなり③式に代入するとタクロリムスの1日あたり(τ=24 hr)の投与量(mg/day)を求めることができる。

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したがって、この患者に対するタクロリムスの1日投与量(mg/day)として最も適切なのは、4.0 mg/dayである。

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