令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 280,281

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問 280  正答率 : 84.3%
問 281  正答率 : 76.2%

 国家試験問題

国家試験問題
食道がん全摘出後の患者(体重65 kg)の栄養管理として、高カロリー輸液による中心静脈栄養法が実施されていた。NST(栄養サポートチーム)が患者ラウンドを行った際に、患者の皮膚の状態が乾燥し、鱗状になっていることを発見した。NSTの薬剤師は、必須脂肪酸欠乏を疑い、医師らとともに他の臨床症状や検査値を確認した。協議の結果、静注用脂肪乳剤(イントラリポス®輸液20%、100 mL、1本)を投与することになった。

問280(実務)
看護師から病棟薬剤師に、静注用脂肪乳剤を投与する時の注意点について質問があった。薬剤師による説明として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 遮光して投与してください。
2 ゆっくり(3時間以上かけて)投与してください。
3 高カロリー輸液に混合してください。
4 ポリカーボネート製三方活栓を使用してください。
5 0.2 µm孔径の輸液フィルターを用いて投与してください。


問281(薬剤)
今回投与されることになった静注用脂肪乳剤には以下の成分が含まれている。前問における説明の理由として正しいのはどれか。1つ選べ。
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1 脂肪乳剤の乳濁安定性を高めるため。
2 精製大豆油の分解を抑えるため。
3 精製卵黄レシチンの添加により投与器具への有効成分の吸着を抑えるため。
4 濃グリセリンが脂肪粒子の最大粒子径を0.2 µm以下にする目的で添加されているため。
5 血中での過剰な脂肪粒子の停滞を防ぐため。

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問 280    
問 281    

 e-REC解説

問280 解答 2

1 誤
脂肪乳剤は、光により分解されやすい薬剤ではないため、遮光して投与する必要はない。

2 正
脂肪乳剤を急速投与すると、脂肪粒子の分解・吸収が間に合わず、血中に過剰な脂肪粒子が停滞し、脂質異常症になる可能性があるため、ゆっくり投与する必要がある。なお、脂肪乳剤は1時間に体重1 kgあたり0.1 g(0.1 g/kg/hr)以下となるように投与すべきであり、本患者(体重65 kg)の場合、1時間に6.5 g(6.5 g/hr)以下の投与速度が望ましく、脂肪20 g(20%:100 mL)を投与する際は、20 g÷6.5 g/hr≒3 hr となり、3時間以上かけて投与することが望ましい。

3 誤
脂肪乳剤は、多剤と混合することにより安定性が損なわれる可能性があるため、高カロリー輸液に混合せずに、単独で投与する。

4 誤
脂肪乳剤により、ポリカーボネート製三方活栓が破損し、血液及び薬液漏れ、空気混入等の可能性があるため、ポリカーボネート製三方活栓の使用を避けることが望ましい。

5 誤
脂肪乳剤は、0.2 µm孔径の輸液フィルターに詰まるため、フィルターの使用を避ける必要がある。


問281 解答 5

前問選択肢2参照

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