令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 324,325

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問 324  正答率 : 77.0%
問 325  正答率 : 89.6%

 国家試験問題

国家試験問題
71歳男性。膵臓がんで入院治療していたが、本人の希望もあり退院し、自宅で緩和ケアを受けている。退院時は、以下の処方であった。薬剤師が訪問としたところ、痛みの評価は、NRS(数値スケール)で5、強い痛みがある場合は、モルヒネのレスキュー薬を使用していた。また、最近「薬が飲みにくい」という訴えもある。本人は、毎日お風呂に入りたいという希望がある。

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問324(実務)
薬剤師は、モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルを中止して、他の薬剤への変更を医師に提案することにした。薬剤として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量4 mg)
2 フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量2 mg)
3 フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量1 mg)
4 フェンタニル3日用貼付剤(貼付用量4.2 mg)
5 フェンタニル3日用貼付剤(貼付用量2.1 mg)

注)以下を前提に計算すること
・オピオイドスイッチングを行う際の換算比は、経口モルヒネ対フェンタニルを100:1とする。
・フェンタニル貼付剤から1日あたりフェンタニルとして吸収される量は、1日用は貼付用量の約30%、3日用は貼付用量の約14%とする。


問325(法規・制度・倫理)
その後、この患者が死亡し、患者の相続人から、薬剤が残っているので、薬局に返却したいとの申し出があった。確認したところ、残薬はフェンタニル貼付剤及び酸化マグネシウムであった。これらの薬剤の取扱いに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 フェンタニル貼付剤の返却には、都道府県知事の許可が必要であるため、申請するよう指導した。
2 返却されたフェンタニル貼付剤は、回収することが困難な方法で廃棄した。
3 返却されたフェンタニル貼付剤を薬局で廃棄したので、廃棄後30日以内に都道府県知事に届出を行った。
4 返却されたフェンタニル貼付剤は、まだ使用期限を過ぎていなかったので、仕入れをした卸売販売業者に返品した。
5 酸化マグネシウムは、まだ使用期限を過ぎていなかったので、必要に応じて相続人が服用してもよいと指導した。

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問 324    
問 325    

 e-REC解説

問324 解答 1

本患者は現在モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセル120 mgを1日1カプセル服用しており、設問中に「オピオイドスイッチングを行う際の換算比は、経口モルヒネ対フェンタニルを100:1とする。」とあることから、フェンタニルを1日に1.2 mg吸収できる貼付剤に変更するのが望ましい。
また、設問中の「フェンタニル貼付剤から1日あたりフェンタニルとして吸収される量は、1日用は貼付用量の約30%、3日用は貼付用量の約14%とする。」とあることからそれぞれのフェンタニルとして吸収される量は次の通りである。

1 正
フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量4 mg)
フェンタニルの吸収量4 mg×0.3(30%)=1.2 mg

2 誤
フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量2 mg)
フェンタニルの吸収量2 mg×0.3(30%)=0.6 mg

3 誤
フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量1 mg)
フェンタニルの吸収量1 mg×0.3(30%)=0.3 mg

4 誤
フェンタニル3日用貼付剤(貼付用量4.2 mg)
フェンタニルの吸収量4.2 mg×0.14(14%)=0.588 mg

5 誤
フェンタニル3日用貼付剤(貼付用量2.1 mg)
フェンタニルの吸収量2.1 mg×0.14(14%)=0.294 mg


問325 解答 2、3

フェンタニルは麻薬に該当する。麻薬を廃棄するときは、麻薬の品名、数量、廃棄方法について都道府県知事に届け出て、当該職員立ち会いの下に行う。ただし、調剤された麻薬の廃棄については、廃棄後30日以内に都道府県知事に届け出ればよい。

1 誤
麻薬であるフェンタニル貼付剤を薬局で患者に交付する際、安全に廃棄するため薬局に返却するよう指導する。患者が薬局に返却する際、都道府県知事の許可等の手続きは必要としない。

2 正
返却されたフェンタニル貼付剤を廃棄するとき等、調剤された麻薬を廃棄するときは、回収することが困難な方法により廃棄しなければならない。

3 正
返却されたフェンタニル貼付剤を廃棄するとき等、調剤された麻薬を廃棄するときは、30日以内に都道府県知事に調剤済麻薬廃棄届を届け出なければならない。

4 誤
外来患者から返却された麻薬は、すべて廃棄しなければならない。なお、麻薬小売業者は、原則として、麻薬を麻薬卸売業者に返品することはできない。

5 誤
酸化マグネシウムは麻薬には該当しないが、患者のために処方され、調剤された薬剤であるため、患者本人ではなく相続人が服用してもよいと指導するのは不適切である。

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