令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 244,245

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問 244  正答率 : 63.4%
問 245  正答率 : 83.6%

 国家試験問題

国家試験問題
医療従事者が入院患者の採血を行い、患者の血液が付着した針を廃棄しようとした際、誤って指に針を刺してしまった。そこで、針刺し事故対応マニュアルに従い対処することになった。診療録で当該患者の情報を確認したところ、血中HBs抗原とHBe抗原がともに陽性であった。受傷した医療従事者は10年前にB型肝炎ワクチンの接種歴があるが、血中抗HBs抗体価を調べたところ、陰性であった。

問244(実務)
感染制御部から薬剤部に対し、必要な薬剤確保の依頼があった。この受傷者に対して投与する薬剤の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2020-06-29 15.17.57.png


問245(衛生)
下記のうち、感染性廃棄物として廃棄する必要がないのはどれか。1つ選べ。

1 この患者に使用した輸液セットのチューブ及び針
2 この患者の血液が付着したので、高圧蒸気法で滅菌処理したガーゼ
3 受傷者の傷口の洗浄、消毒に使用したガーゼ
4 受傷者の抗HBs抗体の検査の際に血液を扱った器具
5 受傷者への薬剤投与のために包装を開封したが、使用しなかった注射針

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問 244    
問 245    

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問244 解答 6

本設問での針刺し事故の状況を整理する。「診療録で当該患者の情報を確認したところ、血中HBs抗原とHBe抗原がともに陽性であった」という記述から、医療従事者が受傷した針は、B型肝炎に感染している患者に使用した針であることがわかり、「受傷した医療従事者は10年前にB型肝炎ワクチンの接種歴があるが、血中抗HBs抗体価を調べたところ、陰性であった。」という記述から、受傷した医療従事者はB型肝炎に対する免疫が不活化していることがわかる。したがって、今回の針刺し事故で、受傷した医療従事者は、新たにB型肝炎に感染した可能性があることが考えられる。
針刺し事故対応マニュアルによると、新たにB型肝炎に感染した可能性がある場合、事故発生後24時間(遅くとも48時間)以内にポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)を投与し、その後、組み換え沈降B型肝炎(HB)ワクチンを投与することとされている。


問245 解答 2

本設問で、感染性廃棄物として廃棄する必要がないのは、患者の血液が付着したので、高圧蒸気法で滅菌処理したガーゼである。以下に環境省の「感染性廃棄物処理マニュアル」から抜粋した感染性廃棄物判断フローを示す。
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1 必要がある
「患者に使用した輸液セットのチューブや針」は、血液等の付着の有無に関わらず、鋭利なものが含まれるため、感染性廃棄物として廃棄する必要がある。

2 必要がない
「患者の血液が付着したので、高圧蒸気法で滅菌処理したガーゼ」は、滅菌処理によって感染性が失われ、且つ、鋭利ではないガーゼであることから感染性廃棄物として廃棄する必要がない。

3 必要がある
「受傷者の傷口の洗浄、消毒に使用したガーゼ」は、患者の血液が付着している可能性があるため、感染性廃棄物として廃棄する必要がある。

4 必要がある
「受傷者の抗HBs抗体の検査の際に血液を扱った器具」は、患者の血液が付着している可能性があるため感染性廃棄物として廃棄する必要がある。

5 必要がある
「受傷者への薬剤投与のために包装を開封したが、使用しなかった注射針」は、血液等の付着の有無に関わらず、鋭利なものとして、感染性廃棄物と同等の取扱いとして廃棄する必要がある。

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