令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 264,265

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問 264  正答率 : 68.5%
問 265  正答率 : 52.2%

 国家試験問題

国家試験問題
73歳男性。胃全摘手術後4日目に発熱があり、CRPも上昇していた。胸部単純レントゲン写真で右下肺野に浸潤影を認め、喀痰培養の結果にてMRSAが検出されたため、バンコマイシンの投与を開始した。7日間投与したが効果が得られなかったため、病棟担当薬剤師に薬剤の変更について医師から相談があり、作用機序の異なるリネゾリドの静脈内投与を提案した。

検査値:体温38.1℃、CRP5.8 mg/L、Ccr44.5 mL/min、 赤血球数420×104/µL、白血球数4000 /µL、血小板25×104 / µL

問264(薬理)
リネゾリドの作用機序はどれか。1つ選べ。

1 細菌内で還元されたニトロ化物が細菌のDNAを切断する。
2 細菌の細胞壁合成の初期段階でN−アセチルムラミン酸の合成を阻害する。
3 細菌のDNAジャイレースに作用し、DNAの高次構造形成を阻害する。
4 細菌のペニシリン結合タンパク質に共有結合する。
5 細菌のリボソームと結合し、翻訳過程の70S開始複合体の形成を阻害する。


問265(実務)
リネゾリドをこの患者に使用する上での留意点として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 投与終了1〜2時間後の血中濃度を測定する必要がある。
2 効果不十分な場合は、点滴静注時間を15分に短くすることで効果を高めることができる。
3 中等度腎障害のため、減量して投与する。
4 骨髄抑制を起こすことがあるので、定期的に血液検査を行う。
5 経口投与が可能な状態になったら、経口剤への切り替えを提案する。

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問 264    
問 265    

 e-REC解説

問264 解答 5

リネゾリドは、細菌タンパク合成の翻訳開始反応におけるリボソーム50Sサブユニットに結合し、70S開始複合体の形成を阻害することで抗菌作用を示す。


問265 解答 4、5

1 誤
リネゾリドは、血中濃度モニタリング(TDM)が必要な薬物ではない。なお、MRSA感染症治療薬のうちTDMが必要な薬物としては、バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシンがあげられる。

2 誤
リネゾリドは、「1200 mgを2回に分け、1回600 mgを12時間ごとに30分〜2時間かけて点滴静注すること」とされているため、静注時間を15分に短くすることは不適切である。

3 誤
リネゾリドの薬物動態は、腎機能障害による影響を受けないため、本患者のように腎機能障害がある場合でも、減量する必要はない。

4 正
リネゾリドは、重大な副作用として骨髄抑制を起こすことがあるので、週1回程度、定期的に血液検査を行う必要がある。

5 正
リネゾリドは、経口剤の生物学的利用率が約100%であり、注射剤とほぼ同等の効果が得られるため、経口投与が可能だと医師が判断した場合は、注射剤から同じ用量の経口剤へ切り替えることができる。

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