令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 278,279

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問 278  正答率 : 70.1%
問 279  正答率 : 83.3%

 国家試験問題

国家試験問題
91歳女性。骨粗しょう症の治療でアレンドロン酸ナトリウム経口ゼリー剤を服用中である。先日、薬剤師が在宅訪問した際に手足のしびれや筋肉の硬直を訴えていたため主治医に報告したところ、本日、医師の訪問診療時に低カルシウム血症であることが判明し、食事の摂取量低下の影響で低栄養状態でもあったため、塩化カルシウム注射液(1 mEq/mL)20 mLとビーフリード輸液500 mLを末梢血管から投与する指示が出された。翌日、訪問看護師が2剤を混合したところ、輸液が若干白濁していることに気付き、在宅訪問した薬剤師に相談があった。
※ビタミンB1・糖・電解質・アミノ酸液
(主な電解質成分として、リン酸二カリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、クエン酸ナトリウム水和物、L−乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、硫酸マグネシウム水和物、硫酸亜鉛水和物を含有)

問278(薬剤)
この輸液の白濁の原因と考えられる電解質成分の組合せとして最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 ClとMg2+
2 ClとZn2+
3 PO43-とCa2+
4 PO43-とチアミン
5 L−LactateとCa2+
6 Citrate3-とK


問279(実務)
薬剤師の助言の内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 若干白濁した程度であれば静脈内投与しても問題ない。
2 インラインフィルターを使用する。
3 新たに2剤を混合し8℃以下に保管する。
4 2剤を混合せず、ビーフリード輸液を点滴し、側管から塩化カルシウム注射液を急速静注する。
5 2剤を混合せず、塩化カルシウム注射液を生理食塩液に希釈し、ビーフリード輸液とは別に点滴投与する。

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問 278    
問 279    

 e-REC解説

問278 解答 3

カルシウムイオン(Ca2+)を含む注射剤は、リン酸イオン(PO43-)や炭酸イオン(CO32-)を含む輸液と混合すると、リン酸カルシウムや炭酸カルシウムなど白色沈澱を生じることがある。
したがって、この輸液の白濁の原因と考えられる電解質成分は、PO43-とCa2+である。


問279 解答 5

塩化カルシウム注射液とビーフリード輸液を混合すると白濁の配合変化を起こすため、2剤の混合を行わないことを提案すべきである。また、塩化カルシウム注射液を急速静注すると、動悸や徐脈などがあらわれることがあるため、塩化カルシウム注射液の静脈内注射は緩徐に行う必要がある。

1 誤
白濁した輸液を静脈内に投与すると、血管が詰まるリスクがあるため不適切である。

2 誤
白濁は、注射剤と輸液の成分から生じたものであるため、白濁が生じた時点で注射剤と輸液の成分含量が低下していると考えられる。したがって、インラインフィルターを使用して白濁を取り除いたとしても、成分含量の低下した混合輸液の投与を提案していることになるため不適切である。

3 誤
8℃以下に保管したとしても、2剤を混合した時点で白濁する可能性が高いため不適切である。

4 誤
塩化カルシウム注射液を急速静注すると、動悸や徐脈などがあらわれるリスクがあるため不適切である。

5 正
上記参照。

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