令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 114

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問 114  正答率 : 60.4%

 国家試験問題

国家試験問題
薬物Aに感受性のある培養細胞を用いて、その細胞内の代謝調節タンパク質Bについて調べることにした。

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操作の流れを図1に示す。培地に薬物Aを添加して細胞を1時間培養した後、培地を除去してから細胞を回収した。細胞を破砕し、低速度の遠心操作で核画分を分離回収した。さらに高速度の遠心操作で、核を除いた細胞の膜画分を分離回収した。また、対照として、培地に薬物Aを添加しなかった細胞についても同様の操作を行った。
ドデシル硫酸ナトリウムを用いたポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)にて、核画分及び膜画分中のタンパク質を分離し、タンパク質Bに対するポリクローナル抗体を用いてウエスタンブロットを行った。SDS−PAGEは、還元剤(2−メルカプトエタノール)を添加した条件と添加しない条件の2通りの方法で行ったところ、図2に示す結果を得た。

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以上の実験とその結果から推測される記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 タンパク質Bは、核膜に局在するタンパク質である。
2 タンパク質Bは、分子間ジスルフィド結合を持つ。
3 タンパク質Bから生じた約30 kDaのタンパク質は、核内に移行する。
4 タンパク質Bは、薬物Aで刺激された細胞内で3つに切断される。
5 タンパク質Bの分子量は、約50 kDaである。

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問 114    

 e-REC解説

解答 2、3

1 誤
還元剤非添加において、核画分(レーン1)にはバンドが検出されておらず、膜画分(レーン2)には約100 kDaのバンドが検出されている。以上のことから、タンパク質Bは核には存在せず、細胞膜に約100 kDa存在していると推察できる。
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2 正
還元剤非添加時の膜画分(レーン2)に、約100 kDaのバンドが検出しているのに対し、還元剤添加時の膜画分(レーン2)では、約20 kDaと約80 kDaに分かれている。これは、タンパク質Bのペプチド間のつなぎ目であるジスルフィド結合が還元剤により切断されたためだと推察される。
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3 正
還元剤非添加及び薬物A添加の結果(図2左)、約100 kDaのタンパク質Bは薬物Aにより約30 kDaと約70 kDaの2つに切断されたと考えられる。そして、約30 kDaのタンパク質は、核画分で検出されていることから、細胞膜から核内へと移行したと推察される。
スクリーンショット 2022-06-15 14.30.39.png


4 誤
解説3参照

5 誤
還元剤及び薬物A非添加時、タンパク質Bは膜画分(レーン2)において100 kDaで検出されていることから、タンパク質Bの分子量は、約100kDaであると推察される。
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