令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 174

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問 174  正答率 : 47.9%

 国家試験問題

国家試験問題
薬物の血中濃度(C)の経時変化が下図のようになったため、体循環コンパートメントと末梢コンパートメントからなる線形2-コンパートメントモデルで解析し、次の式の形で表した。

CA・e-α・tB・e-β・t


ただし、AB、α、βは定数、t は時間であり、投与量をDとする。このときの薬物動態パラメータに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

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1 終末相(β相)における消失速度定数(β)は、図の②の部分の傾きから求められる。
2 分布相(α相)における消失速度定数(α)は、図の①の部分の傾きから求められる。
3 血中濃度時間曲線下面積は、(AB)/(α+β)で表すことができる。
4 投与直後の薬物血中濃度はABで表すことができる。
5 体循環コンパートメントの分布容積はDAで表すことができる。

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問 174    

 e-REC解説

解答 1、4

2-コンパートメントモデルとは、薬物の体内動態において投与後、分布平衡が速やかに成立する組織(体循環コンパートメント)と、分布平衡が遅い組織(末梢コンパートメント)の2つに分類されるモデルである。
薬物を静脈内投与すると、投与初期は体内からの薬物消失と末梢コンパートメントへの移行が同時に起こるため、急激な薬物血中濃度の減少(α相、分布相)が見られる。その後、時間経過とともに組織への分布が平衡状態となった際、体内からの薬物消失が主となり緩やかな薬物血中濃度の減少(β相、終末相)が見られる。

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1 正
図の②の部分は、緩やかな薬物血中濃度の減少が見られるため、終末相(β相)であると判断できる。従って、終末相(β相)における消失速度定数(β)は、図の②の部分の傾きから求められる。

2 誤
分布相(α相)における消失速度定数(α)は、α相の曲線から、β相の直線(−・−・−)の値を差し引き、その値をプロットすることで、α相の直線(・・・・・)が得られ、この直線の傾きから求められる(図1参照)。従って、分布相(α相)における消失速度定数(α)は、図の①の部分の傾きから求めることはできない。

3 誤
血中濃度時間曲線下面積は、A/α+B/βで表すことができる。

4 正
投与直後の薬物血中濃度C0は、t=0の時の血中濃度であるため、次式で表すことができる。

C0A・e-α・0B・e-β・0
C0AB

従って、投与直後の薬物血中濃度C0ABで表すことができる。

5 誤
体循環コンパートメントの分布容積Vd1は、②式で表すことができる。

スクリーンショット 2022-06-16 12.19.10.png

また、静脈内投与時の投与量Divは、体内薬物量X0と等しくなるため、Div=X0となり、②式に代入すると③式となる。

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選択肢4より、C0ABであるため、③式に代入すると④式となる。

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