令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 286,287

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問 286  正答率 : 75.3%
問 287  正答率 : 61.2%

 国家試験問題

国家試験問題
68歳女性。54歳の頃、精神科でうつ病と診断され2年間ほどセルトラリン塩酸塩錠を服用し、回復した。10年前(58歳時)に内科でパーキンソン病と診断され、レボドパ250 mg・カルビドパ配合錠(1日5錠、朝2錠、昼1錠、夕2錠)で治療を開始した。3年前(65歳時)から薬の作用時間が短縮し、服用後時間が経つと安静時振戦や運動緩慢など症状の悪化が見られた。舌突出・異常運動、じっとしていられないなどの症状は出現していなかった。服用回数を5回に分割したところ症状は落ち着いた。

問286(病態・薬物治療)
服用回数を分割する前に、患者に出現していた症状はどれか。1つ選べ。

1 アカシジア
2 急性ジストニア
3 遅発性ジスキネジア
4 on−off現象
5 wearing−off現象


問287(実務)
この患者は、その後、薬を頻回に内服することを考えると気分がすぐれなくなり、うつ病が再発したため、2年前(66歳時)から精神科でセルトラリン塩酸塩錠の服用を再開した。2ヶ月ほど前から、3年前(65歳時)のような症状が起こるようになったと、内科の主治医に相談があった。主治医は、新しく薬物を追加することを検討している。現在の処方は以下のとおりである。

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この患者に追加する薬物として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 セレギリン
2 ロピニロール
3 イストラデフィリン
4 エンタカポン
5 ゾニサミド

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問 286    
問 287    

 e-REC解説

問286 解答 5

本患者は、パーキンソン病と診断され、レボドパ・カルビドパ配合錠で治療を開始したが、3年前から薬の作用時間が短縮し時間が経つと安静時振戦や運動緩慢など症状の悪化が見られている。また、その対処として服用回数を5回に増やしたところ症状は落ち着いている。以上のことから、本患者には、wearing−off現象が出現していたと考えられる。なお、wearing−off現象とは、レボドパ製剤の効果持続時間が短縮する現象であり、その対処としては、レボドパの頻回投与・増量やセレギリン(MAOB阻害薬)、エンタカポン(COMT阻害薬)、イストラデフィリン(アデノシンA2受容体遮断薬)の追加などがある。


問287 解答 1

セルトラリン塩酸塩錠は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であり、シナプス間隙のセロトニン濃度を高める作用をもつ。本剤とセロトニンの分解抑制作用をもつセレギリンを併用すると、脳内セロトニン濃度が高くなり、セロトニン症候群のリスクが上昇するため、本患者に対してセレギリンを追加するのは適切ではない。

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