令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 298,299

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問 298  正答率 : 64.0%
問 299  正答率 : 67.4%

 国家試験問題

国家試験問題
62歳女性。身長153 cm、体重56 kg。動悸及び息切れを自覚し、近医を受診したところ非弁膜症性心房細動と診断され、以下の処方で治療を開始することになった。患者の検査値等は以下のとおりである。

(所見及び検査値)
血圧140/86 mmHg、心拍数160拍/分、脈拍数90拍/分、AST 23 IU/L、
ALT 28 IU/L、eGFR 40 mL/min/1.73 m2

(心電図)
RR間隔不規則、P波消失、f波出現

スクリーンショット 2022-06-29 8.51.34.png

問298(病態・薬物治療)
治療薬の処方意図として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 心拍数の調節(レートコントロール)
2 洞調律の維持(リズムコントロール)
3 冠動脈血栓の予防
4 肺塞栓症の予防
5 脳塞栓症の予防


問299(実務)
3ヶ月経過後、患者が処方箋を持って来局した。処方が以下の内容に変更されていた。

スクリーンショット 2022-06-29 8.52.53.png

処方内容の変更について薬剤師が患者に確認したところ、以下の答えが返ってきた。「薬の量を決めるために検査を繰り返していたが、主治医から食事について質問され、時折青汁を飲んでいることを伝えたところ、薬を変えることになった。」
患者の所見及び検査結果は以下のとおりである。

(所見及び検査値)
血圧130/85 mmHg、心拍数120拍/分、脈拍数75拍/分、AST 25 IU/L、
ALT 26 IU/L、eGFR 35 mL/min/1.73 m2、PT−INR 2.3

今回の処方変更について、薬剤師の対応として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ワルファリンカリウム錠の服用を中止し、その翌日よりダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩カプセルを開始するよう患者に説明する。
2 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩カプセルを服用し忘れた場合、できるだけ早く1回量を服用し、次の服用まで6時間以上空けるよう指導する。
3 青汁やほうれん草などの緑黄色野菜の摂取は、控えるように患者に指導する。
4 他科や他院でP−糖タンパク質を阻害する薬剤が処方されていないことを確認する。

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問 299    

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問298 解答 1、5

心房細動の治療では、症状に応じて心拍数調節(レートコントロール)または洞調律維持(リズムコントロール)を行うとともに、心原性脳梗塞(脳塞栓症)の予防として抗凝固薬(ワルファリンやダビガトランなど)を用いる。なお、レートコントロールに用いられる薬物としてはアドレナリンβ受容体遮断薬、ジギタリス製剤、非ジヒドロピリジン系Ca2+チャネル遮断薬などがあり、リズムコントロールに用いられる薬物としてはNaチャネル遮断薬、Kチャネル遮断薬などがある。
処方1のワルファリンカリウムは抗凝固薬であり、脳塞栓症の予防を意図して用いられている。また、処方2のビソプロロールフマル酸はアドレナリンβ受容体遮断薬であり、レートコントロールを意図して用いられている。


問299 解答 2、4

1 誤
ワルファリンカリウムからダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩に変更する際は、PT−INRを測定し、PT−INRが2.0未満であることを確認してから服用を開始する必要がある。本患者は現在PT−INRが2.3であるため、一度担当医に疑義照会する旨を患者に説明する。

2 正

3 誤
青汁やほうれん草などの緑黄色野菜の摂取を控えるよう患者に指導する必要があるのは、ワルファリンカリウムである。

4 正
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩は、P−糖タンパク質の基質である。そのため、P−糖タンパク質を阻害する薬剤との併用により、本剤の抗凝固作用が増強するおそれがあるので、これらの併用は避ける必要がある。

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