令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 276,277

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問 276  正答率 : 65.6%
問 277  正答率 : 63.3%

 国家試験問題

国家試験問題
55歳男性。2型糖尿病。内服薬による血糖のコントロールが不良のため、インスリン導入の目的で教育入院を行い、超速効型インスリンの投与が開始された。しかし退院後、仕事が多忙のため自己注射が不規則になった。現状の改善が図れないことから、かかりつけ薬剤師が処方医にトレーシングレポートを書き、使用製剤の見直しについて処方提案を行った。その結果、次回来局時には以下のように変更された処方箋を持参した。

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問276(実務)
生活の状況を考慮して処方変更となった患者への説明として、適切なのはどれか。1つ選べ。

1 以前処方されていた超速効型インスリンも併用する。
2 注射をする前に、十分に転倒混和して懸濁させる。
3 注射を忘れた日は、空腹時でも注射する。
4 風邪に伴う発熱や悪寒が現われても自己判断で中止しない。
5 血糖値に応じて適宜注入単位を調整する。


問277(薬剤)
図は、皮下投与後のインスリンアナログの動態を示している。インスリンアナログの動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

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1 本製剤中で、インスリン デグルデクは、難水溶性で安定なダイヘキサマーとして存在する。
2 本製剤中で、インスリン アスパルト及びインスリン デグルデクは、アルブミンと結合し安定化されている。
3 本製剤を皮下投与後、インスリン アスパルトのヘキサマーは、皮下組織において速やかにモノマーに解離する。
4 本製剤を皮下投与後、インスリン デグルデクのダイヘキサマーは、皮下組織でマルチヘキサマーを形成した後、徐々にモノマーに解離する。
5 インスリン アスパルトは、循環血中でアルブミンに強く結合し、標的組織に移行する。

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問 276    
問 277    

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問276 解答 4

今回処方されたライゾデグ配合注フレックスタッチは、超速効型インスリン(インスリン アスパルト)と持効型インスリン(インスリン デグルデク)を3:7のモル比で含有する配合溶解インスリン製剤である。

1 誤
本製剤には超速効型インスリンが含まれているため、以前処方されていた超速効型インスリンを併用する必要はない。

2 誤
懸濁製剤である中間型インスリン製剤と混合型インスリン製剤は注射をする前に、十分に転倒混和して懸濁させる必要があるが、本製剤は懸濁製剤でないため、注射前の転倒混和の必要はない。

3 誤
本製剤には超速効型インスリンが含まれるため作用発現が速く、空腹時に注射すると低血糖を引き起こすリスクが高くなる。そのため本製剤は食事の直前に投与する必要がある。

4 正
糖尿病の患者が、風邪などの感染症や胃腸障害により食欲不振になった状態をシックデイという。シックデイになると血糖値が乱れやすくなることやケトアシドーシスを起こす危険があることから、インスリン製剤を自己判断で中止せず、主治医とシックデイ時のルールを決めて対処することが重要である。したがって、風邪に伴う発熱や悪寒が現われても自己判断で中止しないよう患者へ説明する必要がある。

5 誤
本製剤の投与量は、血糖値に応じて適宜注入単位を調整するべきではない。


問277 解答 3、4

1 誤
本製剤中で、インスリン デグルデクは、可溶性で安定なダイヘキサマー(インスリン六量体の二量体)として存在する。なお、インスリン アスパルトは、可溶性で安定なヘキサマー(インスリン六量体)として存在する。

2 誤
本製剤中では、インスリン アスパルトもインスリン デグルデクも、アルブミンと結合していない。なお、循環血中においてインスリン デグルデクは、構造中に有する脂肪酸(ヘキサデカン二酸)を介してアルブミンと結合し、標的組織へと移行する。

3 正
本製剤を皮下投与後、超速効型であるインスリン アスパルトのヘキサマーは、皮下組織において速やかにモノマーに解離し、速やかに毛細血管に吸収されるため、効果の発現が速い。

4 正
本製剤を皮下投与後、持効型であるインスリン デグルデクのダイヘキサマーは、皮下組織で毛細血管に吸収されない分子サイズの可溶性マルチヘキサマーを形成した後、徐々にモノマーに解離し、緩徐にかつ持続的に循環血中へ移行するため、効果の発現が持続する。

5 誤
インスリン アスパルトは、循環血中でアルブミンに結合しない。
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