令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 341

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問 341  正答率 : 83.5%

 国家試験問題

国家試験問題
37歳女性。以前より右乳房のしこりが気になっていたが、今回職場の検診で改めて指摘され来院した。来院時の身体所見及び検査所見は以下のとおりである。

(身体所見及び検査所見)
身長165 cm、体重56 kg、体表面積1.61 m2。乳頭からの分泌物は無く、月経周期や全血球計算並びに各種生化学検査値に異常なし。マンモグラフィで放射状陰影や不整形腫瘤を認め、穿刺吸引細胞診にて浸潤がん細胞を確認した。また、病理組織検査の結果、エストロゲン受容体陽性、プロゲステロン受容体陰性及びHER2陰性と判定された。

以上の検査結果から、乳房温存摘除術を施行後、化学療法を組合せた内分泌療法を施行することとなった。

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この患者に対する薬物療法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 不正出血などの症状を認めた際には直ちに医師や薬剤師に相談するよう患者に指導する。
2 遅発性嘔吐を予防するため、パロノセトロン塩酸塩注射液をプレガバリン口腔内崩壊錠に変更する。
3 心筋障害を予防するため、注射用エピルビシン塩酸塩注射用投与24時間以上前にフィルグラスチム(遺伝子組換え)注射液を投与する。
4 出血性膀胱炎を予防するため、シクロホスファミド水和物注射用投与の当日にメスナを投与する。
5 フルオロウラシル注射液による汎血球減少症を予防するため、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物・L−グルタミン顆粒を投与する。

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問 341    

 e-REC解説

解答 1、4

1 正
タモキシフェンは抗エストロゲン薬であり、副作用として子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどを起こすことがあるため、不正出血などの症状を認めた際には直ちに医師や薬剤師に相談するよう指導する。

2 誤
パロノセトロンは、抗悪性腫瘍薬投与に伴う急性および遅発性嘔吐の予防に用いられる。そのため、パロノセトロン塩酸塩注射液をプレガバリン口腔内崩壊錠に変更する必要はない。

3 誤
エピルビシンはアントラサイクリン系薬であり、副作用に心筋障害を起こすことがあるため、定期的な心機能検査が必要となるが、特に有効な予防薬はない。なお、フィルグラスチムは、抗悪性腫瘍薬投与による好中球減少症の予防および治療などに用いられる。

4 正
シクロホスファミドはアルキル化薬であり、代謝活性化の際に生成されるアクロレインが膀胱に蓄積することによって、出血性膀胱炎を引き起こすことがある。そのため、シクロホスファミド投与時、4時間後、8時間後の計3回、アクロレイン中和作用を有するメスナを投与することで、副作用の出血性膀胱炎を抑制する。

5 誤
フルオロウラシルなどの抗悪性腫瘍薬は、増殖が活発な造血幹細胞を障害することで骨髄抑制による汎血球減少症を起こすことがあるため、定期的な血液検査によるモニタリングが必要となる。なお、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物・L−グルタミン顆粒は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃炎の改善などに用いられる。

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