令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 212,213

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問 212  正答率 : 76.0%
問 213  正答率 : 76.9%

 国家試験問題

国家試験問題
1歳男児。体重10 kg。中等度の急性副鼻腔炎と診断され、アモキシシリン水和物散が処方されたが効果不十分と判断され、薬剤感受性を考慮し以下の処方へ変更になった。

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問212(実務)
本症例において、薬剤師が留意すべき重大な副作用はどれか。1つ選べ。

1 甲状腺組織の直接的障害による甲状腺機能低下症
2 糖新生抑制による乳酸アシドーシス
3 ヒスタミン遊離によるレッドネック症候群
4 ビタミンA欠乏による視覚障害
5 血清カルニチン低下による低血糖


問213(物理・化学・生物)
以下は、セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物の化学構造である。前問の副作用の原因となる構造を含む部分はどれか。1つ選べ。
なお、前問の副作用は本品がプロドラッグであることに由来する。

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問 212    
問 213    

 e-REC解説

問212 解答 5

セフカペン ピボキシルは、消化管吸収を促進する目的で、活性本体(セフカペン)にピバリン酸がエステル結合されている(ピボキシル基)。
本薬剤は吸収後、エステラーゼによる代謝を受けてピバリン酸と活性本体に分かれる。ピバリン酸はカルニチン抱合を受けピバロイルカルニチンとなり、尿中へ排泄される。その結果、低カルニチン血症が起こりやすくなる。
また、カルニチンは、β酸化(脂肪酸分解)の促進に関与する物質である。β酸化によってNADHなどATP生成に関連する物質を生成するが、このNADHは糖新生にも必須の因子である。そのため、カルニチン不足に陥ると、β酸化が進みにくくなるだけではなく、糖新生も起こりにくくなることで、低血糖になりやすくなる。
したがって、セフカペン ピボキシルなどのピボキシル基を持つ薬剤が処方されている場合、薬剤師が留意することとしては、「血清カルニチン低下による低血糖」が挙げられる。


問213 解答 4

本薬剤が低カルニチン血症に伴う低血糖を引き起こすのは、ピボキシル基のエステル結合が切断された結果、ピバリン酸が生じるためである(問212解説参照)。したがって、低カルニチン血症による低血糖の原因となる本薬剤の部分構造は4である。

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