令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 308,309

Pin Off  未ブックマーク    |  |  |   
問 308  正答率 : 68.9%
問 309  正答率 : 90.5%

 国家試験問題

国家試験問題
ある薬局は、地域の飲食店等からの要望を受け、毒物劇物販売業の登録を申請し、劇物である苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の取扱いを行っている。近所の飲食店に勤務する者が、苛性ソーダを売って欲しいと来局した。来局者の年齢と使用目的を確認したところ、年齢は19歳で、厨房を清掃するための購入であり、以前にも一度使用した経験があるとのことであった。なお、この飲食店は毒物劇物営業者ではない。

問308(法規・制度・倫理)
薬局で苛性ソーダを管理するにあたり、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 この薬局に勤務する薬剤師が、毒物劇物取扱責任者として管理する。
2 移し替えた容器に「医薬用外」の文字と赤地に白色をもって「劇物」の文字を表示する。
3 かぎのかかる設備に陳列する。
4 他の物と区分して保管する。
5 保管場所に「医薬用外」と「劇物」の文字を表示する。


問309(実務)
この来局者に薬剤師が苛性ソーダを販売するにあたり、適切な対応はどれか。2つ選べ。

1 この薬局の毒物劇物販売業の登録が有効期限内であることを確認する。
2 この来局者に苛性ソーダの性状及び取扱いに関する情報を提供する。
3 この薬局にて、この来局者の処方箋の調剤を行ったことがあり、身元を把握しているので、譲受書の受取りに関する手続きを省略する。
4 水剤の調剤で用いる内服液剤容器に入れて販売する。
5 この来局者の年齢では、法律上販売できない旨を説明する。

 解説動画  ( 00:00 / 0:00:00 )

 ビデオコントロール

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 308    
問 309    

 e-REC解説

問308 解答 2

1 正しい
毒物劇物取扱責任者になることができるのは、以下の者である。
・薬剤師
・厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を終了した者
・都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者
したがって、この薬局に勤務する薬剤師は、毒物劇物取扱責任者として劇物である苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の管理を行うことができる。

2 誤っている
移し替えた容器には「医薬用外」の文字と白地に赤色をもって「劇物」の文字を表示する必要がある。

3 正しい
毒物劇物営業者(毒物劇物販売業を含む)及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物をかぎのかかる設備に貯蔵・陳列しなければならない。

4 正しい
毒物又は劇物の貯蔵設備は、毒物又は劇物とその他の物を区分して貯蔵できるものでなければならない。

5 正しい
毒物劇物営業者(毒物劇物販売業を含む)及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の保管場所(貯蔵・陳列する場所)に、「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。


問309 解答 1、2

1 正
薬局において毒物又は劇物を販売するには、毒物劇物販売業の登録を受ける必要があるが、この登録の有効期間は6年間である。登録の更新が行われておらず、有効期限を過ぎてしまった場合には、その効力は失われる。したがって、毒物劇物販売業の登録が有効期限内であることを確認することは適切である。

2 正
原則的に毒物劇物営業者(毒物劇物販売業を含む)は、毒物又は劇物を販売又は授与する時までに、譲受人に対し、当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報を提供しなければならないため、適切である。ただし、例外的に当該毒物劇物営業者(毒物劇物販売業を含む)により、当該譲受人に対し、既に当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報の提供が行われている場合等は、情報提供しなくてよい。

3 誤
毒物劇物営業者は、毒物劇物営業者以外の者(一般購入者など)に、毒物又は劇物を販売しようとするときは、その購入者から、定められた事項を記入し、購入者の印を押した書面(譲受書)の提出を受けなければならない。したがって、譲受書の受取りに関する手続きを省略することは不適切である。

4 誤
毒物劇物営業者(毒物劇物販売業を含む)及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物について、その容器として、誤飲を防ぐため、飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。したがって、水剤の調剤で用いる内服液剤容器に苛性ソーダを入れることは不適切である。

5 誤
毒物劇物営業者(毒物劇物販売業を含む)が毒物又は劇物を販売・授与してはならない者を以下に示す。
・18歳未満の者
・心身の障害により毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止の措置を適正に行うことができ
ない者として厚生労働省令で定めるもの
・麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
来局者の年齢は19歳であるため、心身障害や薬物中毒などを疑われる不審な点がない場合には、苛性ソーダを販売することができる。

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします