令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 244,245

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問 244  正答率 : 69.3%
問 245  正答率 : 61.0%

 国家試験問題

国家試験問題
生後24日男児。母親は出産後、実家に帰省して子育てをしており、実家では井戸水で溶かした人工乳を与えていた。生後12日から次第に哺乳力が低下し、生後24日に痙れんが出現したため、救急車を要請した。来院時、チアノーゼを認め、動脈血液ガス分析の結果は、以下のとおりであった。

(検査値)
pH7.15(基準値7.4±0.5)、PaCO2 22.1 mmHg(基準値40±5 mmHg)、PaO2 71.3 mmHg(基準値85±15 mmHg)、HCO3 12.7 mEq/L(基準値24±2 mEq/L)、メトヘモグロビン45%(基準値 <2%)、一酸化炭素ヘモグロビン1.9 %(基準値 <3%)

問244(衛生)
この患児の症状の原因と考えられる井戸水の汚染物質はどれか。2つ選べ。

1 亜硝酸態窒素
2 硝酸態窒素
3 ベンゼン
4 1,4−ジオキサン
5 ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)


問245(実務)
この患児に対する治療薬として最も適切と考えられるのはどれか。1つ選べ。

1 メチレンブルー
2 ペニシラミン
3 クエン酸第一鉄ナトリウム
4 チオ硫酸ナトリウム
5 ホメピゾール

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問 244    
問 245    

 e-REC解説

問244 解答 1、2

亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素は井戸水などに含まれており、ヘモグロビンを酸素運搬能のないメトヘモグロビンに酸化することで、メトヘモグロビン血症を引き起こす。
この患児は、井戸水で溶かした人工乳を飲んだ後、痙れんやチアノーゼ等のメトヘモグロビン血症の症状を認め、検査結果からメトヘモグロビンが基準値を大きく上回っていることから、亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素を摂取したと考えられる。


問245 解答 1

1 正
メチレンブルーは、メトヘモグロビン血症に用いられる。メチレンブルーは、NADPH還元酵素存在下でロイコメチレンブルーとなり、メトヘモグロビンをヘモグロビンに還元してメトヘモグロビン血症を改善する。

2 誤
ペニシラミンは、鉛・水銀・銅中毒に用いられる。ペニシラミンは、重金属とキレートを生成し、重金属の排泄を促進させる。

3 誤
クエン酸第一鉄ナトリウムは、鉄欠乏性貧血に用いられる。

4 誤
チオ硫酸ナトリウムは、シアン及びシアン化合物中毒に用いられる。チオ硫酸ナトリウムは、ロダネーゼによりシアンと反応し、チオシアン酸にすることで毒性を低下させる。

5 誤
ホメピゾールは、エチレングリコールやメタノール中毒に用いられる。エチレングリコールやメタノールは、アルコールデヒドロゲナーゼなどによりシュウ酸やギ酸に代謝されることで腎障害や失明などを引き起こし、ホメピゾールは、これらの代謝を阻害することで、その毒性を軽減する。

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