平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 168

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問 168  正答率 : 51.8%

 国家試験問題

国家試験問題
薬物A 10 mgを静脈内投与した後の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は250 µg・h/Lであり、尿中に未変化体として5 mgが排泄された。また、10 mgを経口投与した後のAUCは45 µg・h/Lであり、糞便中に未変化体として2 mgが排泄された。薬物Aの小腸利用率(小腸アベイラビリティ)として適切なのはどれか。1つ選べ。
ただし、薬物Aの消化管管腔中での代謝・分解は無く、静脈内投与後は肝代謝と腎排泄によってのみ消失し、消化管管腔中への分泌、胆汁中排泄は無いものとする。また、薬物Aの体内動態には線形性が成り立つものとし、肝血流速度は80 L/hとする。

1 0.04
2 0.2
3 0.3
4 0.6
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問 168    

 e-REC解説

解答 3

薬物Aの経口投与時のバイオアベイラビリティ(F)は、①式で表される。
スクリーンショット 2016-08-04 15.49.29.png

①式を変換すると②式が得られる。
スクリーンショット 2016-08-04 15.49.38.png

バイオアベイラビリティ(F)は③式で求めることができる。
スクリーンショット 2016-08-04 15.49.47.png

「薬物A 10 mgを静脈内投与した後の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は250 µg・h/L」、「10 mgを経口投与した後のAUCは45 µg・h/L」とあることから③式よりFを求めることができる。
F = 0.18

消化管粘膜透過率(Fa)は、④式で表される。
スクリーンショット 2016-08-04 15.49.59.png

「糞便中に未変化体として2 mgが排泄」とあることから消化管粘膜透過量が8 mgとわかるため、④式よりFaを求めることができる。
Fa = 8/10 = 0.8

肝初回通過効果をまぬがれた割合(Fh)は、⑤式により求めることができる。
スクリーンショット 2016-08-04 15.50.21.png


肝抽出率Ehは、⑥式で表される。
スクリーンショット 2016-08-04 15.50.30.png


肝クリアランスCLhは、⑦式で表すことができる。
スクリーンショット 2016-08-04 15.50.39.png


全身クリアランスCLtotは、⑧式で表されることができる。
スクリーンショット 2016-08-04 15.50.48.png

⑧式より、CLtot = 10 mg/250 µg・L-1・h = 10,000 µg/250 µg・L-1・h = 40 L/h

10 mg静脈内投与時に「尿中に未変化体として5 mgが排泄された」とあることから尿中未変化体排泄率が50%とわかるため、⑦式より
CLh =( 1 - 0.5 )× CLtot = 0.5 × 40 L/h = 20 L/h

スクリーンショット 2016-08-04 15.50.57.png


これらのことから、②式よりFgを求めることができる。
Fg = 0.18/0.8・0.75 = 0.3

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